一般社団法人特定ラジオマイク運用調整機構の平成26年総会セミナーとして上記タイトルにて講演を行いました。ここに要約を紹介し、皆様のご理解を深める一助にできればと存じます。
まず、統合サーバーの開発コンセプトを紹介しましょう。
- 1、基本コンセプトは特ラ機構(特ラ連)のFPU 1ch~4chを対象とした運用調整システムをベースに構築すること。
- 2、システム構築費用は特定ラジオマイク(音響業務用・放送業務用)の免許人に対する補償費用であるとの考え方を基本として、推進協会が大部分を負担する。
- 3、システムが対象とする周波数帯域は、
- 1) ホワイトスペース:WS 470~710MHz
- 2) 音声専用帯域 710~714MHz
- 3) 音声およびFPU
- ・音声 1,240~1,260MHz
- ・FPU 1,240~1,300MHz
(但し1,252~1,253MHzは除く)
- 4) FPU専用帯域 2.3GHzとする。
- 4、システムの利用者は、
- 1) 特定ラジオマイクを運用する者
(音響業務用・放送業務用)
- 2) FPUを運用する放送事業者
- 3) エリア放送運用者
- 4) 新たにWSを利用する者とする。
- 5、システム利用者に対しての運用調整データの送受信はメールおよびFAXとする。
- 6、 データサーバーはクラウドコンピューターを利用する。
- 7、平成25年9月にリンク情報システム株式会社に「統合データベース」として開発を依頼し、平成26年3月末より本番環境としてテスト運用開始する。
- 8、このシステムは今後、約1年をかけてプログラムの妥当性をチェックし、その後のブラッシュアップにより、完成度の高い運用連絡調整システムトとする。その間、特ラ機構および放送局を中心にシステム運用を行い、データの蓄積をはかる。
- 9、特ラ機構の会員が直接的にこの運用調システムを運用できるよう、特ラ機構の運営する「システム運用認定制度」を検討する。
以上の基本コンセプトを踏まえ、ソフトの開発・製造を東京・渋谷のリンク情報システムに依頼、平成26年3月を目標に設計にかかり平成26年4月~7月にかけて第一次の修正を経て運用を開始しています。ソフトの持つ機能や特徴は次のようなものとなっています。
- 1、 ネットワーク構成
- 音響用のRMの運用調整については特ラ機構が受け持ち、放送用は各放送局、エリア放送は協議会事務局に分担する。特ラ機構と協議会事務局はVPN回線により、また放送局等はインターネット回線によりクラウドサーバーにアクセスする。
- 2、PC端末等
- スマホ等からのアクセスも考慮に入れ、ブラウザを介して入出力・閲覧を行う。
- 3、システムの扱うラジオマイク(RM)
- 基本コンセプトに示す通り。
- 4、RMの最大出力
- アナログRMおよびアナログイヤモニ(EM)は10mW。デジタルRMおよびデジタルEMは50mW。因みにFPUは25W。
- 5、WSは総務省のチャンネルリストに従う
- チャンネルリストという呼称で総務省から不定期に発表されるCH-LISTは運用場所と使用可能TVチャンネルを組み合わせたリスト。場所、周波数(ch)およびアナログ・デジタルを指定し、その指定範囲内において使用可能。
- 6、CH-LISTの中にあるガードバンド
- CH-LIST内の隣接したCHが使用不可であれば,RMは6MHz内の両端の1MHzを使用できない。
両端の1MHzはデジタル地上テレビに対してのガードバンドとして設定されている。
- 7、離隔距離と運用調整距離
- アナログとデジタル、出力の違い、屋内・屋外等のRMの使用条件により2つ以上のマイクが近づくと干渉の恐れがある距離を算出し、この距離の表に従って運用調整のお願いを出す。エリア放送やFPUとの間にも運用調整距離を算出、エリア放送はコンタ図を用いる。WS帯と1.2GHz帯では運用調整距離は異なる。
- 8、郵便番号
- 国内の住所を統一して使用するために郵便番号を用いる。毎月一回、日本郵便から発表される番号表をシステムに取り込む。
- 9、地図の利用
- 郵便番号から得られる正確な住所を元に地図ソフトの検索機能を用いてその地点の緯度・経度を求める。この緯度・経度により2地点の距離をもとめ干渉の有無を判定する。
- 10、地図を利用した機能
- ある地点を中心にRMが移動する場合、中心からの半径を入力し、地図上の円として移動範囲を指定、運用調整距離を広げる機能。また駅伝やマラソンなどのFPUの移動に対しては、地図上をプロットして駅伝・マラソンコースをつくり、コース上の各点に対して距離を算出し運用調整距離との比較により運用調整の有無を判定する機能。またRMの移動については同じようにコースを作ることができ、簡易コースとしてお祭りのような場合のRMの移動に対応して判定を行う機能をもつ。
現在、新周波数帯に対応したマイクを使用するテスト機器の運用、メーカーや代理店による機器のデモ、あるいは既に新周波数対応のマイクを所有する会員の運用に対応して運用調整業務を行っております。
特ラ機構としては、このソフトを実際に使用し、バグを潰し、より一層のブラッシュアップを図り、会員の皆様による運用連絡・調整が可能となることを目指しながらご支援・ご鞭撻に感謝しつつ、なお一層の努力を続けてまいります。
なお、この記事の詳細は特ラ機構のホームページに掲載する予定です。
・略記について
特ラ機構:特定ラジオマイク運用調整機構
推進協会:700MHz利用推進協会
協議会事務局:TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会事務局
RM:ラジオマイク
EM:イヤモニター
FPU:フィールドピックアップユニット
2014.08 システム担当 中島