総務省 総合通信基盤局 移動通信課 第一技術係 係長 金子 稔氏
去る6月24日、東京千代田区 総務省関東総合通信局 会議室において、特ラ連および関東総合通信局との共催による情報通信月間参加行事セミナーを開催しましたので報告いたします。参加人数は25名でした。
はじめに、当連盟 田中 章夫 理事長および関東総合通信局 陸上第三課 津村 徹郎課長にご挨拶をいただいたあと、「移動通信の現状」と題して、電子タグシステムの現状を中心に、総務省 総合通信基盤局 移動通信課 第一技術係 係長(当時) 金子 稔 様にご講演いただきました。
まずは、周波数別による電波の利用状況や、周波数の再編、移行についての進捗状況等について説明があったのち本題に入りました。以下がその要旨です。なお、電子タグシステムを講演の中心にした理由については、ある劇団から、衣裳管理に利用したいとの問い合わせが、関東総合通信局に寄せられたことによるもので、音響機材などの管理に活用できるのではと考えたからです。
電子タグとは、RFID : Radio Frequency Identification(無線による固体認識技術)のこと。固体識別、物品管理等に活用できるもので、バーコードに似ている。
【特徴】
- 情報量がバーコードに比べ数倍から数千倍。
- バーコードがひとつひとつ個別に読み取るのに対して、同時一括読取りが可能。
- 無線により非接触で送受信するため、経年変化が少ない。
- 読み取り機能だけのものから、データ書き換えができるものまで機能に応じて製品が多様である。
- 米粒ほどのものから、カード型、箱型、棒状のものまで形状がさまざま。
など。
【パッシブタグシステムとアクティブタグシステムの特徴】
- パッシブタグシステム
リーダ/ライタからの搬送波の電力を利用して、電波を発射する。主に単数、少数のタグのID識別に用いられる。
- アクティブタグシステム
内臓した電源等からのエネルギーにより自発的に電波を発射する。所在情報をリーダで受信することで、対象物の確認、追跡ができる。
【中出力950MHz帯パッシブタグシステムの誕生】
950MHz帯は波長の長さから、多少の障害物があっても通信可能であるメリットから、いっそうの普及が期待されており、高出力型、低出力型のパッシブタグシステムおよびアクティブタグシステムがすでに制度化されている。
高出力型950MHz帯パッシブタグシステムは、最大読取り距離は10m程度と固定的利用を想定。これに対して低出力型は最大読取り距離10cm程度とハンディ型を想定しているが、中出力型のニーズの高まりを受け、22年5月、低出力型よりも通信巨利が長く、持ち運びが可能な最大読取り距離2m程度の中出力型が制度化となった。
開設には、キャリアセンス機能(電波を発射するとき、当該電波と同じ周波数の電波を受信した場合、一定時間自己の電波を発射しないことを確保する機能)を備え、他の無線局に混信を与えないこと、適合表示無線設備(技術基準適合証明、認証証明などを受けている)であることを条件に免許局とは違う、登録局とした。
これにより、ビル設備点検業務、配送物管理、音響式信号機などによる弱者支援等、多様な用途での利用拡大が見込まれ、読取り等に必要なリーダ/ライタの普及予測は、平成31年には51万6千台としている。
その他最新の動向について以下のような説明があった。
【新デジタルコードレス電話システム】
宅内でのコードレス電話の普及とともに、高速データ通信の実現が望まれるようになった。以下のような導入効果のもと、電波監理審議会の審議を経て、22年夏頃公布・施行予定。
- 伝送速度の高速化(32kbps → 1〜2Mbps)。
- 高品質音声(150Hz〜7kHz)伝送。
- IPネットワークとの親和性が高く、新たなアプリケーションに対応可。
- ユーザーの利便性が確保され、経済性の高いシステムが実現。
【UWB(Ultra Wide Band)レーダーシステム】
非常に広い帯域にわたって電力を拡散させ、30m程度の距離内対象物を3cm程度の精度で検知可能。衝突防止用車載レーダーとして実用化が期待されている。22年4月 公布・施行。
【携帯電話の今後】
現在、第3世代デジタル方式より進んだ3.5世代になっており、音楽や動画などの大容量高速データ通信を可能にしている。 2010年頃の導入予定である3.9世代は、第4世代超高速データ通信へ移行するための質的拡張期のあしがかりとなり、携帯電話の音楽等の配信速度は3.5世代の30倍ほどで、音楽CD(約74分)のダウンロード時間は、約54秒、映像DVD(2時間もの)は、約4.8分となるとみられている。第4世代ではさらなる短縮が見込まれ、携帯以外の移動通信システム、無線LANなどにも超高速化が展開される予定である。
特定ラジオマイク利用者連盟 事務局次長 木村 和子
特ラ連が主業務としている、特定ラジオマイクの運用調整システムについて講演しました。皆様からいただく運用連絡の処理の仕方など、スライドプロジェクタを使い説明しました。混信や電波障害を防ぐためにも、運用する際は、事前の運用連絡が不可欠であること、そのための手続や方法を説明しました。当日の模様は、関東総合通信局の広報e-コムフォKANTO7月号で紹介されています。連盟ホームページの「トピックス」からもご覧いただけます。
なお、すでにお知らせしましたが、デジタルA型ワイヤレスマイクが制度化されたことにともない、運用連絡用紙のフォーマット等の全面改定を行いました。
これが新運用連絡用紙です。
ホームページからダウンロードできるので、ご利用ください。
特ラ連の動きにつきましては、ホームページ、レポート、Q&A等で随時報告しておりますが、現在、地域ごとに放送局の方を交えてFPU運用連絡懇談会を開催するようにしています。こういった場にご参加いただき、ご意見をいただければと思います。
青木