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ワイヤレスマイクの将来

宮前真二様ワイヤレスマイクが日本に誕生してから、50年あまり経ちますが、今日のように、有線マイクに近い安定性と、性能を実現できた要因として、以下の2つを挙げることができます。
 1つ目は、技術面で、800MHz帯にFPUと共有では有りますがワイヤレスマイク専用の周波数が割り当てられたことです。
 現在のように制度化される以前は、微弱無線という免許の要らない無線局として運用されていました。従って混信、干渉等に対する防御も無く安定性に問題が有りました。また、周波数も400MHz以下と現在のものから比べると低い周波数を使用していました。制度化検討時には800MHzのような高い周波数ではワイヤレスマイクには使えないといった議論もあったようですが結果的に、電波伝播特性上から見ても、また電波の放射効率から見ても使いやすい周波数が与えられたことにより、専用波という安全性と安定性が実現できました。
 2つ目は運用面で、特定ラジオマイク利用者連盟(以降特ラ連)が設立され利用者が運用連絡を行い輻輳した場合、相互に運用調整を行うことです。
 電波は目に見えないものであり、近隣で同じワイヤレスマイクを使用しているか否かの情報をユーザが単独で把握することは非常に難しいと言えます。そのような状況の中で特ラ連に対し運用連絡を行い、近隣でのワイヤレスマイクの使用状況を入手することにより事前に混信を回避することが可能となり、運用面で安定性を確保できるようになりました。
 このような背景の上で将来のワイヤレスマイクを考えると、デジタルワイヤレスマイクの認可に伴い、FPUの1ch帯、3ch帯が開放されたことも有り、一つの公演等で使用されるワイヤレスマイクは、最大70〜80本となり、また今まで有線マイクで行っていたイベントでも使用されることになり、需要が増大することは間違いありません。
 また近い将来、どこの国でも使用できるように周波数の国際共通化が進み、海外からの持ち込むケースも考えられ、ますます運用連絡、運用調整が重要になります。ワイヤレスマイクの発展のためには、いまにもまして特ラ連の果たす役割が重要となります。
最後になりましたが、特定ラジオマイク利用者連盟20周年おめでとうございます。
今後ともワイヤレスマイクの安定運用に尽力いただきますようお願いいたします。
 

略歴(潟^ムラ製作所 ブロードコム事業部事業管理統括部 新規開発事業グループ スペシャリスト)

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