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イヤモニター至難

本村実様特定ラジオマイク利用者連盟の20周年、おめでとうございます。20年の中には、大変な事も多々有ったと思いますが、日々の運用調整、免許関係の手続きの他、何回かの電波法改正時にもユーザー側からの声をメーカーと共に要望したりと、今迄には無かった流れが出来る様になったと嬉しく思っています。今後も一層の発展と、限り有る電波の有効な、舞台芸術等への利用に貢献していただける物と頼もしく思っています。
 さて、お題のイヤモニター(以下イヤモニ)の話に移って、イヤモニの存在を海外から聞いたのは30年程前になるでしょうか、そんな時、ある音楽イベントに海外からのゲストアーティストが来日し、初めて現物を見ましたが、当時の彼らが持ち込んで来た物は、80MHz帯域のミニFM局の様なシステムで、送信機の大きさからしても、かなりの出力を有し、それを大きなグランドプレーンアンテナから飛ばしておりました。彼らが、アンテナには触れるなと言っていましたので数十ワットはあるのでしょう。今だから言えますが、勿論日本では、電波法違反で、その旨は伝えましたが、彼らのパフォーマンスを止める事は、立場的に出来るよしもありませんでした。その後に海外製品(日本では入手できない)のカタログを手に入たりしましたが、600MHz帯で500mW程度の出力の物が主流になってきていた様です。
 さて、国内アーティストからのイヤモニの要望が出始めたのは、25年程前でしょうか。機材が存在しませんから、合法的に行うために、微弱電波の70MHz帯、ラジカセにおまけで付いているワイヤレスマイクの様な送信部を使って、アーティストに電池式 FMラジオを受信機として持たせてみましたが、カバーエリアが10メートルにも満たない様な代物で、勿論モノラルでした。その後800MHz、B帯のワイヤレスマイクの登場で、テレビカメラ用の電池式受信機のイヤホンアウトを利用して、送信機は、2ピースタイプのマイク入力にミキサーの出力にパッドをかませて、逆使い的な、なんちゃってイヤモニ?を使っていました。勿論モノラルですが、これはかなり評判が良く重宝しました、しかしアーティストからの要求も日増しに上がり、センター定位では音の分離が悪いのでステレオにして欲しいと言う事で、2波使ってステレオ化(この時点で腰物は2つ)したり、更には受信機のヘッドフォンアンプの質や音量を上げて欲しいと言う事で、やはり逆使いで、A2帯の物を2波に、特注で全てに電源供給できる充電式バッテリーと高性能アンプを搭載したセンター部を作り(腰物は3つ)とエスカレートして行きました。しかしこの、なんちゃってイヤモニも、1セット当たりの費用がすでに100万円を有に超える代物になってしまい、音は良くなったのですが、さらに腰物が重いと言われて、涙々の日々が続きました。ようやくイヤモニがワイヤレスマイクと同帯域であるものの合法化されて製品として入手できる様になり胸を撫で下ろしたのもつかの間、1波でマルチパス、ステレオ搬送は、同期が外れてモノラルになったり離調しやすく、ワイヤレスマイクとの同居の難しさを感じさせられました。今は、マイクをA4帯、イヤモニをA2帯と分けたり、イヤモニのアンテナの設置を工夫したりして改善しては来ていますが、完全になった訳では無いのと、ワイヤレスマイクの多チャンネル運用には、イヤモニを組み込め無い等、やはりイヤモニ専用帯域が是非欲しいと切に思う日々です。まだまだイヤモニ至難は続くのだと思いますが、今後もさらなる発展をして行く物と切に願ってやみません。

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