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回顧・いままで

小川一朗様特定ラジオマイク利用者連盟設立20周年おめでとうございます。この20年間での特定ラジオマイクの発展は、40MHz、400MHz帯時代から苦心してワイヤレスマイクを設計してきた先輩技術者、現場で使いこなしてきたユーザーの皆様、800MHz FPU帯での特定ラジオマイクの制度化と発展に尽力されてきた特定ラジオマイク利用者連盟はじめ、行政・ユーザー・メーカー各社の協力の賜物と考えております。この場をお借りして、関係各位に敬意を表したいとおもいます。
 メーカー技術者として20年前を振り返ると、当時から放送番組制作や劇場・大規模野外コンサート等での多チャンネル同時運用プランや現場での同時運用検証のご相談を数多く受けていた事を思い出します。入社早々、私も先輩技術者についてリニア方式の特定ラジオマイクの設計を担当しましたが、マイクとしての“音質”の追求に加え、ワイヤレスとしての“多チャンネル同時運用性能”、“伝送系の安定性”、“チャンネル設定”“運用調整面での利便性”等の大切さをお客様の声と現場運用から身にしみて感じながらの設計の日々でした。‘90年代も半ばを過ぎると特定ラジオマイクの安定運用が業界に認知されたのを実感できるようになりましたが、利用本数の増加を含めお客様の要望に応えるための技術開発が続きました。
 そして昨年、さらなる高音質・多チャンネル・利便性の追求に対応する為に業界として検討を続けてきたデジタル方式特定ラジオマイクの制度化が完了しました。既存のアナログ方式に加えデジタル方式が制度化されたことで、20年前から思い悩み続けていたお客様の要望に対する技術的解決の間口がぐんと広がります。放送事業・演劇・コンサート等に欠かせないアイテムとなった特定ラジオマイクの更なる発展の基礎ができたと考えています。商品設計を行っている技術者としてこれほどの喜びはありません。
 今後 特定ラジオマイクの利便性がさらに高まり、使用方法も今以上に多彩になると考えています。現在の我々には想像もつかない新しい利用方法が生まれるかもしれません。初心を思い起こすと、現場運用を円滑に行う為にはFPU帯の利用に関わる関係者の相互コミュニケーションがさらに重要になってくるとおもいます。我々メーカーからも技術委員として特定ラジオマイク利用者連盟の一員として参加させていただいております。技術面から皆さんと協力し、次時代の特定ラジオマイクの更なる発展に貢献していきたいと考えております。今後もよろしく御願いいたします。
  略歴(ソニーEMCS 湖西テック設計センターAP開発課)

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