特定ラジオマイク利用者連盟創立20周年を、心からお祝い申し上げます。
A型の特定ラジオマイクは、平成元年に、報道現場からのテレビ生中継、あるいは移動中継車からテレビ放送用映像を伝送するといった、当時も今もテレビ放送を行うために無くてはならない重要な800MHzのFPU(Field Pickup Unit)用周波数の4波のうち、1波を共用することを前提に導入され、その後の平成7年度以降は2波を共用して参りました。
このような重要なFPUとA型ラジオマイクが、干渉障害を生じることなく双方が円滑な運用を可能となるよう担保するには、放送局とラジオマイク利用者間での密接な連携が必須であるとの考えのもと、民放連、NHKとラジオマイク利用の関係者が集まり、平成2年に「特定ラジオマイク利用者連盟」が設立されました。そして、特ラ連、民放、NHKの3者で“FPU・ラジオマイク運用連絡協議会”を設け、全国あるいは各地域で具体的な連絡、調整を重ねてまいりました。その結果、これまで双方に大きな支障もなく円滑に運用でき、貴重な周波数の有効利用に大いに貢献することが出来ました。私は今、こうした仕組みを構築したことが間違っていなかったと、当時の関係者の一人として自負するとともに、これまでこうした地道な活動に関係されました皆様に、心から感謝申し上げたいと存じます。
そして、近年はラジオマイクに関する期待が高まり、平成20年には、情報通信審議会においてデジタル伝送方式のラジオマイク利用に向けた技術的条件が審議・答申され、FPU用周波数の全帯域を共用したデジタルラジオマイクの運用が可能となりました。その結果、放送事業者とラジオマイク利用者間の連絡・調整等の業務は、これまで以上に重要となりますので、今後に向け、双方の関係者の更なるご尽力を期待したいと思います。
最近、電波の有効利用を図る観点から、周波数を時間的・空間的に共用する、所謂、ホワイトスペースの利用が期待されております。私は、このA型ラジオマイクとFPU間の共用運用こそ、ホワイトスペース活用の嚆矢であると考えております。そうした意味でも、「特定ラジオマイク利用者連盟」の活動自体が、今後出現する他の周波数共用業務にとっても常に良き見本であり続けてほしい、と切に願っております。
略歴((財)放送文化センター 専務理事)