2017年7月1日 第157号  前 目次 次
特ラ機構 第17回技術賞 受賞者コメント

奨励賞 その他の部門「OFDM方式デジタルラジオマイクの開発と実用化」

この度は、たいへん貴重な賞を頂きましてありがとうございました。大変光栄に思っております。
このラジオマイクの開発のきっかけは周波数移行でして、当時、「アナログに匹敵する低遅延なデジタルラジオマイクを開発せよ」という難題が与えられ、できるのだろうかとずいぶん悩みました。時間をかけて処理を行なうことで高い性能を得るのがデジタルの旨みだからです。とはいえ、移行先周波数では他の無線業務と共用しなければならないので、干渉に強いデジタル方式の開発は避けられませんでした。苦悩の末、「小細工をせず素材の旨みを極限まで引き出す」という料理人魂を思い出し、非圧縮の音声をOFDM方式によりデジタル伝送する手法を選択しました。
 素材の旨みを引き出すには手間がかかります。まず、レシピづくりに相当する標準規格の策定では、試作を繰り返しながらパラメータを吟味し、性能を落とさずに遅延を削減する工夫を行ないました。
 実際の製品開発は、回路設計や部品選定、基板の製作に至るまで匠の技が必要でしたが、タムラ製作所様には不退転の決意で開発に取り組んで頂き、今日の実用化がなされました。TBSテレビ様には運用テストを実施して頂き、放送番組で使用することでOFDM方式デジタルラジオマイクの良さを実証して頂きました。
 最後になりましたが、開発と実用化にあたり多大なご協力を頂きました関係諸氏にこの機会をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

開発グループ 代表 日本放送協会 濱住 啓之
「OFDM方式デジタルラジオマイクの開発と実用化」開発グループ 左から、伊藤史人氏(NHK)、阿部健彦氏(テレビ朝日)、濱住啓之氏(NHK)、田中敏夫氏(タムラ製作所)
前 目次 次