ビルボードライブ東京の電磁シールドについて報告します。
ガラス面を含んだ空間をどのようにしてシールド空間に出来たのか解説致します。
ワイヤレスマイクの使用可能チャンネルリストの「○」を増やすためにも参考にしていただければと思います。
ビルボードライブ東京といえば、六本木の東京ミッドタウン内にある、ライブレストランです。
店内のステージ背面に、タテ9m・ヨコ16mの巨大なガラス面があり、外が見渡せる設計になっています。
店内から見る夜景が美しく、おしゃれな空間です。
その反面、外来電波混信からどのように逃れるか、という大きな課題もあります。
今回は、そのあたりも含めて報告いたします。
店舗周辺の電波状況はどのようなものか、事前計測を行いました。
測定場所は、ステージ中央で、測定方向は、最大到来波方向を事前測定にて決定し、東・西・南・北+最大到来波方向とします。到来波最大方向は、東北約65度でした。
12:00~13:00における電界強度グラフを示します。
810Mhz~820Mhz帯、845Mhz帯のピークは、携帯電話(CDMA)信号です。
その他、小さなピークは、北、東方向(外部方向)からの都市ノイズで、出所は不明です。「図A」
21:00~22:00における電界強度グラフを示します。
測定帯域中においては、非常に安定した電磁環境であることがわかります。
昼間見られた都市のノイズも非常に少ない。「図B」
店舗内を電磁シールドされた空間にするには、導電性の高い素材を、店舗の壁・床・天井の六面に張り巡らせる必要があります。さらに隙間なく、すべての面が電気的に接続されている必要があります。
大きな問題として、ガラス部分があることでした。
同時に、シールドの最終目標値を、30dBとして進めることとしました。
内装工事が始まる前に、ステージ側ガラス面以外の部分を測定しました。
ガラス面は、シールドアルミシート(SSシート)にて仮塞ぎを行いました。
測定結果は、
壁 : 3F・4F・5F、において、30dBを上回るシールド性能を確認しました。
扉 : 3F・4F・5F、において、30dBを上回るシールド性能を確認しました。
床、天井 : 4F床、5F天井において、30dBを上回るシールド性能を確認しました。
3F床(2か所) は、浮床施工時に中間測定を行い、30dBを上回るシールド性能を確認しました。
内装工事終了後、最終性能確認測定を行いました。
アンテナ角度は、垂直、水平2種類測定しました。
測定結果は、
扉 : 3F・4F・5F、において、30dBを上回るシールド性能を確認しました。
天井 : 30dBを上回るシールド性能を確認しました。
窓(シールドカーテン) : 30dBを上回るシールド性能を確認しました。
ガラス面に対しては、屋外からのワイヤレスマイク受信試験も、同時に行いました。
結果は
発信点① | 発信点② | 発信点③ | |
カーテン開 | 音声受信 可 | 音声受信 可 | 音声受信 可 |
カーテン閉 | 音声受信 不可 | 音声受信 不可 | 音声受信 不可 *一時的に受信 |
ステージバックに、16m×9mのガラス開口部がある空間で、有名アーティストによる音楽ライブを成立させなければならないということからのスタートでした。
電波の遮断については、試行錯誤し、多くの試験を行う中で一定の効果を出すことが出来ました。
室内の音場環境を同時に整えることが出来ましたので、ワイヤレスマイクを使わないアコースティックライブであれば、カーテンをオープンにして、ガラスの反射をさほど気にしないで使用できる環境になりました。
ぜひ、お越しいただき、ライブを楽しんでいただければ幸いです。
なお、詳しくは「株式会社ソードクリエイティブ」と入力し検索をお願い致します。そこからお問合せもできます。
協力いただいた各社のみなさまに御礼申し上げます。 ・三井不動産株式会社 ・株式会社竹中工務店 ・光洋産業株式会社 ・株式会社サンケン・エンジニアリング ・株式会社メンアットワーク (順不同)