2016年11月1日 第153号  前 目次 次
特ラ機構第16回技術賞 受賞コメント
剱菱 一郎様

特ラ機構技術賞 奨励賞 ありがとうございます。

ビルボードライブ東京のステージ背面にあるのは特注の「高透過ガラス」で、ガラスを組み合わせ、全体としてヨコ16m×タテ9mという大きさになります。
 そのような大型ガラス開口部を持つ空間を、ガラスの特性を生かしたまま、開閉式カーテン方式で電磁シールドルームにして運用しているのは、ここしかありません。
 実際、開閉するカーテンは隙間だらけで、いろいろな対策や実験を行ってきましたが、本当に電磁シールド効果が出るのかとても心配だったというのが本音です。実験室レベルではない大空間で実際に行うのは、ぶっつけに近い状態だったのです。
 結果として、目標値をクリアしたときは、ほっとしたというのが正直な感想です。

また、ガラスは質量が高く、音をリニアに反射してしまいます。
 ワイヤレス機器を使わないライブやイベントで、開放感のあるガラスのまま使用したいという希望があるのではと考え、ガラスから来た音をガラスに戻りにくく濁らないように、客席各所で吸音をしています。
 イベントでピアノの演奏があり、PA無しの生音で、嫌な反射もなく上部客席まで音が届いていたので、良かったと思っています。

周波数移行によりTVホワイトスペースでの運用も始まり、さらに、ワイヤレス機器の使用本数も増えており、電磁シールドの重要性が増してきていると感じます。
 あらゆるワイヤレス機器が、電磁シールドルーム内では、外部からの妨害を受けずに安心して使用できるのです。

今後も、より良い音環境に向けてお役に立てればと思いますので、何かありましたらお声をおかけください。
 よろしくお願いいたします。

株式会社ソードクリエイティブ  剱菱 一郎


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