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 福岡テレビラジオ中継技術協会、九州写真記者協会TVニュース部会共催、の「デジタルワイヤレスマイク・セミナー」が平成15年10月3日・TNC放送会館(福岡市早良区百道浜2-3-2)のパヴェリア・ホールで開かれ、特定ラジオマイク利用者連も協賛参加しました。
 「800MHz帯ワイヤレスマイクのデジタル化の動きが活発になっているが、九州まで具体的な情報が伝わってこない」との声で計画されました。参加者は福岡地区のNHK・民放の制作技術及びニュース取材担当者を中心に、九州各県や遠くは神戸、広島の放送局からも駆けつけたほか、関連のプロダクション、福岡県内の特ラ連会員も加わって80余人。講義、解説、実験視聴、質疑応答と4時間半にわたる長時間のセミナーでしたが、参加者は最後まで熱心に耳を傾け、デジタル化に寄せる関心の深さを窺わせるものでした。
セミナーは午後1時20分開会。主催者を代表してテレビ西日本(TNC)・技術局制作技術部の塚原弘孝部長(福岡テレビラジオ中継技術協会幹事長)、つづいて協賛の根本貞臣・特ラ連相談役が、それぞれ「この機会にデジタル化の現状を十分に把握、吸収してください」「将来に向けて、ユーザーとしての前向きの意見を出していただきたい」と挨拶。司会進行のテレビ西日本・技術局制作技術部・牧野茂担当部長から日程説明と現在、審議・検討中の部分も多いので、資料の扱い等の注意があり本論に入りました。
第1部 デジタル化の概要(以下テーマと講師)
(1)アナログとの違い、デジタルワイヤレスの特徴
NHK広島放送局・技術部・制作技術チーフエンジニア 
井野 栄信氏  
(2)デジタルワイヤレス化の状況(ARIBでの審議、検討の現状)
松下電器産業株式会社
五味 貞博氏 (特ラ連・賛助委員会委員長)
(3)海外の動向と周波数割り当てについて
ソニーサウンドコミュニケーション株式会社
飯田 幹夫氏 (特ラ連・技術委員会委員)
(4)デジタル化の技術的可能性と課題について
松下電器産業株式会社
谷口 尚平氏 (特ラ連・技術委員会委員)
(15分間休憩)
第2部 デモおよび質疑
(1)各社試作機視聴
 参加者多数のため出展4メーカー各社(実験中のため社名をA,B,C,Dとして実行)が順次、担当者による説明と音声の遅延を主にしてスピーカーからの音出による視聴の比較しかできませんでした。しかし、スピーカーからの音だけでは納得できず、ヘッドホーンで確かめている方々も多く、ここでも予定時間をオーバーする熱心な姿がありました。
視聴実験のメーカー担当者
松下電器産業株式会社 谷口 尚平氏
ソニー株式会社 小川 一朗氏
TOA株式会社 田中 智久氏
株式会社タムラ製作所 宮前 真二氏
(2)質疑応答
「この機会に、デジタル化にかかわらず、現状の機器についての疑問、要望を含め、積極的に意見を出してください」。進行をつとめる牧野さんの発言と巧みなリードで多くの質問、意見が寄せられました。一時間の予定はここでも30分以上延長。主な質問、意見はつぎの通りです(順不同。カッコ内は質問への答えの要約です)。
メーカー間の互換性を持った機器を。
  メーカーの独創性も大切だろうがそれを乗り越えて、基本的には共通で使えるものが欲しい。
共同記者会見用のマイクを作れませんか。
  少し大きくなってもよいから、何本もまとめて使う必要のないもの。これも互換性に絡むのでは。
デジタル化でアンテナはどうなるか。
  (基本的には現在のアナログと変わらない)
デジタル化による到達距離。
  (出力を同じとすればアナログと同じとみればよいが、デジタルの場合は受信時に信号の訂正、補正が可能になるので、受信限界ぎりぎりのところで、これが働けば実質的に若干の広がりは考えられる)
電池のコストと耐久性。
  電池にも互換性を。とくに充電式を取る場合は。
デジタル化による発生熱の処置。
  (現在のアナログのものより、熱は多くなるだろうが今のところとくに問題にしていないが、検討する)
増波(使用周波数帯)の可能性。
多チャンネルはどこまで可能か。
  (圧縮と遅延の許容値によっても左右されるが、干渉抑圧の実験などで運用チャンネル増加の可能性などを探りたい)
どのくらいの価格が予定されるか。
  新たな設備投資になるので安価にして欲しい。(現状より高価にしないようにを、最初の商品づくりの目標にしている.売れる数が問題だが、ユーザーの皆さんに、現行のものよりどれだけメリットをみていただけるか、努力して行く)
特ラ連の運用連絡はどうなる。
  (デジタル化で運用連絡のいらないような多チャンネル使用可能になることがワイヤレスマイクとしては理想だが、まだそこまではという感じ。今後の動向をみながらメールの活用などデジタル化に応じた運用連絡のあり方、見直しが必要になると思う)

 最後にNHK広島の井野さんが「互換性は絶対必要です。各メーカーは共通フォーマットを揃えて欲しい。IDもしっかりしたものをつけて欲しい。これによって共通のユーザー情報が見られるし、運用連絡も含めて管理にはぜひ必要なものです。特ラ連の今後のあり方もここにあるのではないかと思います」と締めくくりました。
この時点で既に午後5時半で、予定を1時間オーバー。最後に特ラ連の運用連絡の現状をスライドで紹介しながら説明。「クリアーな電波環境でクリアーな運用」に協力をお願いしました。
(根本記)