座談会 「現場技術者大いに語る」
その4
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◇デジタル化ということについて
司会 デジタル化についてですが、ディレ−の問題があったりして……
町山 今は大手のPA屋さんのシステムにはディレ−が入っていますから。
金森 デジタルのディレ−というのはぼくらはそれほど気にしていないんです。逆にそれを統一するのをどうするか、という方が大事なんです。
町山 放送局さんはデジタル卓が多いでしょうが、生番組はいまだにアナログが多いときくんですが。
井野 でも絶対的に卓はアナログが多いですから。それより放送局の場合、映像処理にいろいろなデジタル機器が入りますから、それで30ミリなり15ミリ単位で遅れてきますから、逆にそれに合わせて音を遅らすんですけど、そうすると30とか60という数字になりますから、そうするとモニタ−でそのまま返せないんですよね。そうなると許されるのは10ミリかそのあたりかなと思うんですけどね。
金森 10ミリは技術的にはもっと短くなるでしょうから、またしなければならない問題だろうと思いますが。ぼくらにとってはチャンネルをいっぱい取れたほうが有難いんですよ。
町山 デジタル化の前にリニア化、A2のリニア化が問題でしょうね。コンパンダの入っている音はだれも納得しないですから。メ−カ−はデジタル化の前にリニアをどうするかが問題ではないですか。民放さんもそれを望んでいるところが多いですね。
司会 それで更にチャンネルが取れれば、ですが。イヤモニ化されてくると余計リニアへ向かうんです。特にハンドは。音質の違いがよくわかるんですね。リニアを使うともう戻れないですからね。ハンドの場合コンプが入っていますし、卓でさらに入り、システム的に言ってもSPでコンプレッションがかかっていますから、ヴォ−カルの抜けはどんどん悪くなってしまいます。その点リニアを使えば一段ないですからね。
司会 そのようなことからワイヤ−ドへ戻るということにはならないですか。
町山 アメリカの場合、ぼくが聞くかぎりではワイヤ−ドへ戻っていますね。バラ−ドはワイヤ−ドで、ダンスシ−ンのあるものはワイヤレス、みたいなのが多いようですね。
音質とか、そういう観点からいくと、すみ分けがうまくいくんではないかと思うんですが。
司会 今後、ミュ−ジカルとか演劇も生の声で聞きたいという時代に変わってくるでしょうね。
金森 劇場の響き自体が、一時期ライヴであったのが急激にデッドがいいという流行りがあって、またライヴに変わってきて、今はライヴとデッドの中間くらいになっていて、多分生の声を聞きたいという、まあ音楽が入るから聞こえないといけないから、その分足す、という時代になると思っています。ぼくは確信しているんです。そうするとワイヤレスも本数が減るし……(笑い)、それが本来の使い方だと思うんです。
司会 結論が出たようですね。本日はお忙しい中を有り難うございました。
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