このたびは第60回紅白歌合戦におけるワイヤレスマイクの安定運用ということで努力賞を頂き、ありがとうございます。節目となった第60回紅白ではセットは高低差を活かした大掛かりなものとなり、歌位置もステージだけに留まらず客席や花道も使用され、例年より伝搬状態が厳しくなると予想されましたが、関係各社との使用ワイヤレスの調整やスタッフの努力によりトラブルもなく無事、生放送を終えることができました。
近年、ワイヤレスイヤーモニターの使用を希望する出演者は増加し、ボーカルマイクとして使用できる本数に影響を及ぼしています。紅白ではNHKホールの既設16波に4波増波し20波にて運用していますが、この中からイヤーモニター用に2波を割り当て、残りをボーカルマイクとして使用しています。4時間30分にも及ぶ長時間の生放送の各シーンでは当然前後の流れから一度に使用可能なワイヤレスマイクの数には制限があり、この各シーンでの使用本数の調整は毎年、リハーサル直前まで演出との折衝にて行われています。
いまのところ20波運用で済んできていますが、演出内容によっては更に増波も検討しなければなりません。今後はそういったことも視野に入れ、ワイヤレスマイクの安定運用に努めて参りたいと思います。
NHK 放送技術局 制作技術センター 番組制作技術部 森田 誠