今から20数年前に音響業務用としてワイヤレスマイクは40〜50MHz帯で送信出力は微弱として許可されていた。そのころの心境を例えて言うと、放し飼いの動物園の中にぽつんと置かれた籠の中に保護されている様な邪魔されっぱなしのひ弱な鳥のような状態でした。自分でも弱い電波出力なのだから仕方がないとか、強い物には敵う訳がないと諦めにも似た心境でした。
この様な環境下にワイヤレスマイクの運用を希望する舞台・SR関係者等が多くなり、使用する本数も増加して、安定運用に混乱を生じ初め、使用している業界仲間から将来を考えて、安定運用出来るワイヤレスマイクの必要性を当時の郵政省関係者にお願いすることになった。その結果、政治決着として何処かにまとめて波を与えたいとの意向に傾いた。
当時、放送事業者の音声がワイヤレスマイクとして使用していた、400MHz帯は将来営業用目的に使用したいと郵政省が考えていた。時同じくして放送事業者用FPUは将来HV(ハイビジョン)時代を迎えて、伝送系にはその性能を発揮出来るギガ(G)帯を目指していた様である。
この様な時代の先読みの中で、FPU・4CH帯(797〜806MHz)は緊急災害・報道、大型イベント、マラソンなどに使用するだけで使用実績が少なく、そのFPU・4CH帯の周波数を共用することで、放送局のA型ラジオマイクは同じ放送局内なので各放送局関係者間で対応出来る。音響業務用については、共用するFPU・4CH帯の周波数に障害・混信を与えないと言う運用協定をNHK・民放各局と特定ラジオマイク利用者連盟(音響業務用で使用する団体・個人を会員をとして掌握する団体)を設立して対応を取ることを前提に共用波として使用出来ることになった。
その後、ワイヤレスマイクの運用本数が増加して、業界挙げて郵政省に陳情した結果、平成6年にはFPU2・CH帯(779〜788MHz)の使用も可能となった。
(田中)
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