コンパンダ方式のコンパンダとは、コンプレッサ(Compressor:圧縮回路)とエキスパンダ(Expander:伸張回路)の造語です。
各メーカより各種の方式が考案されていますのでここではごく一般的な方式について記載します。
マイクから入力されたオーディオ信号を、対数比で1/2に圧縮したものを送信し、受信機側で2倍に伸張して元の信号レベルに復元するシステムです。(図-1参照)
雑音レベルや受信機の歪みの影響を受けない部分を利用して伝送するため、見掛け上のSNが良くなります。
また、強い音を弱めて伝送するため、電波を占有する帯域が狭くて済むという特徴がありリニア方式に比べ同時に使用できるチャネル数が多く取れます。
欠点としては、アナログ信号を、VCA(電圧制御増幅器)などを用いてリアルタイムに圧縮、伸張を行うため、音の再現性はリニア方式に比べ劣ります。
一方リニア方式は、圧縮、伸張などの処理を一切行わずに文字通り、マイクから入力されたオーディオ信号をそのまま電波に載せて伝送し受信機側でもそのまま出力するシステムです。
コンパンダ方式に比べ回路構成が簡単であり、オーディオ信号に余計な処理を加えないため音の再現性は優れています。
強い音はそのまま伝送する必要があるため、電波を占有する帯域が、コンパンダ方式に比べ広く同時に使用できるチャネルが少なくなるという欠点があります。
現在、市場に流通しているほとんどの特定ラジオマイクはコンパンダ方式のようです。コンパンダによる音の劣化が許容できる範囲内であることと、チャネル数が多く取れることが大きな要因と思われます。
特ラ連 技術委員長 宮前 真二(潟^ムラ製作所)
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