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第1回中国地区「FPU・ラジオマイク運用連絡懇談会」セミナー

特ラ連レポート111号の、第1回中国地区「FPU・ラジオマイク運用連絡懇談会」報告に、最新の技術情報「特定ラジオマイク・デジタル化の経緯と今後」として概要を掲載しましたが詳細を掲載します。
 この講演は、当連盟技術委員であるソニーイーエムシーエス株式会社の小川一朗氏の協力を得まして、同社松本純也氏も招き、デジタルラジオマイクの実演と資料を使ったプレゼンテーションをしていただきました。
 NHK広島放送局様のご協力いただき、T-1スタジオで、会員、放送局の皆様35名を超える参加をいただき、「デジタルB型ラジオマイク実機による試聴・実証」を、懇談会に先立って行い、デジタル方式ラジオマイクの音質、電波の振る舞いなどを体感させていただきました。
1.「デジタルB型ラジオマイク実機による試聴・実証」 場所:T-1スタジオ
セミナー
 小川様、松本様より、デジタルラジオマイクのメリット、デメリットに関する実機を用いた実証試聴をしていただきました。当日は、既にソニー様より販売されているB型の送信機DWT-B01と受信機DWR-S01Dのデジタルラジオマイク、比較用としてソニー様のアナログB型ラジオマイク送信機WRT-820と受信機WRR-860Cをご準備い ただき、デジタルポータブルミキサーDMX-P01でミックスしパワードスピーカーで試聴しました。
 今回 参加者の皆様が注目したことは、弱電界時の音質の劣化、音声遅延、周波数混信でした。

  • 弱電界時の音質劣化確認
    • T-1スタジオ内では弱電界にすることが出来ないため、レシーバーのアンテナを外し受信感度を下げた状態にし音質確認を行いました。松本様から事前にご説明があったとおり、受信レベルが限界に達し始めると、ゴロゴロという感じの短い音声断が発生し始め、更にレベルが下がると音声断の時間が長くなり、最終的には完全な音声断にいたるデジタル特有の劣化を体験できました。ご説明によると、音声劣化のさせかたにもノウハウがあるようで、突然の音声断や大きな破綻音にならないような工夫をされているとのことです。
  • 音声遅延の確認
    • デジタルの遅延量は、今回のソニー様の商品では3.6msecとのことです。この遅延量をスピーカーから出てくる音で認識することは出来なかったので、遅延の無いアナログとのフェージング音で確認することになりました。同一のラベリアマイクを取り付けたデジタルとアナログを使い、両方のラベリアマイクをピッタリと近づけてしゃべったところ、遅延によるフェージングを聞くことができました。ただし両方のラベリアを多少離すとフェージングは軽減しました。
  • 周波数混信
    • アナログとデジタルの同一周波数混信を確認しました。デジタルラジオマイクの音を出した状態で、同一周波数に設定したアナログを混信させた場合、アンテナまでの距離がアナログ送信機のほうが遠くなると、ノイズ無くデジタル送信機の音が再生されることに驚きました。またデジタル同士の同一周波数混信も行っていただき、この場合でもアンテナに近いほうの送信機の音声がノイズ無く再生されることがわかりました。デジタルのノイズに対する強さを確認することができました。
       これ以外にもSM58をつかった有線マイクとの音質比較や、ソニー様の商品のユニークな機能である2.4GHzを使った送信機リモート機能のデモなど、約1時間強さまざまな試聴、実験を行っていただきました。参加者の皆様も実機を触っていただき、デジタルラジオマイクの特徴を体験していただくことができたました。

      松本氏 その後、懇談会(NHK広島放送局第1会議室)で事前に実機を用いた試聴・検証実験を行った内容をふまえ、また最新の動向を交え、松本様より講演していただきました。
  • 2009/3月に告示された特定ラジオマイク(A型)内容
    • 帯域はFPU1 - FPU4が使用可能(最大で72波の運用が可能)
    • 50mWを許容
    • ただし6MHz以上の可変幅を持った場合には、年間電波利用料が高額になる
  • デジタル化のメリット
    • コンパンダーを使用しないので、優れたレスポンスにより高音質化が可能
    • アナログに比べてD/U比が20dB改善しノイズ、3次高調波歪、同一周波数混信などに有利
    • 妨害波に強い特性から、チャンネルの等間隔配置が可能になり、アナログに比べて1.5倍から1.8倍の同時運用数が実現
    • 同一周波数の使用できるエリア間隔が、アナログに比べて大幅に改善
    • デジタルコード化にて秘匿性が向上
  • デジタル化のデメリット
    • 遅延が発生(ソニーのシステムで現状3.6msec)
  • アナログとの混在運用時の注意点
    • 弱電界時の音質劣化の違いに注意が必要
    • 講演前に行われた試聴においても、実際に体感することが出来ました。
    • 最後に現在ソニー様から販売されているデジタルラジオマイクの商品紹介と、今後の新機種の予定などをご説明いただき終了しました。
 視聴・検証では、デジタルの利点と問題点それにアナログとの混在時状況までにおよび実証体験をさせて頂き有難う御座いました。会員の皆様からリクエストをすれば、ソニー様から今回のような説明やデモも行っていただけるそうです。

田中 記
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