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平成21年度 情報通信月間参加行事セミナー報告@

去る6月24日 東京青山 NHK青山荘において、特ラ連および総務省 関東総合通信局共催によるセミナーを開催しましたのでご報告いたします。
 当連盟、八幡泰彦理事長および総務省 関東総合通信局 陸上第三課 菊池 仁志課長にご挨拶をいただいたあと、
「無線通信のデジタル化の状況とデジタル方式ラジオマイクの導入」
と題して、総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 課長補佐(当時) 林 義也 様からご講演いただきました。

電波発見の歴史から電波の基礎についての説明のあと、新しく法制化されたデジタル特定ラジオマイクを中心に、無線のデジタル化の現状を多岐にわたりわかりやすくお話いただきました。

〔デジタル無線方式の基本的な強み・利点について〕

  • 誤差がでても気がつかないように細工ができる。また周波数幅が少なくてすむ。
  • 電波の弱くなる限界まで音質・画質が低下しない。送受信時の雑音や混信に強い。
  • 信号の合成(多重化)が可能になり音声とデータを混合できる。
  • 暗号化できることで通信内容が漏れにくい。秘匿性がある

〔デジタル方式特定ラジオマイクについて〕

アナログ方式の弱点であった、混変調等の影響による音質劣化のための同時使用チャンネルの限界や、スポーツアリーナなど、到達距離を必要とする空間での対応などを考慮して法制化された。技術条件の概要は、以下のとおり。

区分
内容
備考
(現行アナログ方式)
変調方式 位相変調(QPSK,8PSK他)・周波数変調(FSK)・
直交振幅変調(OFDM)
FMアナログ方式
占有帯域幅 最大288KHz 最大330KHz(標準110KHz)
空中線電力 最大50mW
(伝送距離約100m)
最大10mW
(伝送距離約60m)
周波数帯(注1) 最大770MHz〜806MHzを想定 779-788MHz、
797-806MHz
その他(注2) 同時使用ch数 最大72ch (同左)実質20ch程度
(注1) どちらも放送用中継装置(FPU)と共用周波数帯
(注2) デジタルにおいては288 KHzの占有幅で36 MHzを使用する場合。
アナログにおいては110 KHzの占有幅で18 MHzを使用する場合。

利点 
前記アナログ方式の欠点が、ほぼ解消されたほかに、以下の利点がある。
  • 干渉・雑音の影響を受けにくく、同時使用する他のデジタルワイヤレスマイクやFPUと比較的接近できるため、相互調整が容易。
  • デジタル化された周辺機器が増えており、それらとの親和性が良い。
  • 盗聴が行われにくい。
考慮すべき点
  • 音声遅延が生じる。イヤーモニター使用時は遅延が特に意識される可能性がある。
総務省の考え方
  • デジタル方式の導入は推進するが、アナログ方式の運用期限は設けていない。
  • 運用調整はアナログ以上に重要。デジタルの特性上、相互の存在に気づきにくいため事前の調整を怠ることによる影響が大。
  • デジタル化により、帯域、空中線電力(出力)が拡大されたが、帯域幅6MHzを超え、かつ送信電力が10mWを超えると電波利用料が高額となるため注意が必要。

〔最近の無線システムの動向について〕

自営系移動通信
  • 簡易無線にデジタル方式を導入。100chの割り当てが可能。免許型のほかに手続き簡単な登録型タイプを設定。スカイスポーツなど個人レジャー向け利用に期待。
  • UWB無線システムにより、室内でのパソコンやAV機器の、高速大容量のデータ伝送が可能。送信電力は携帯電話の1億分の1程度のため免許不要。 ・アクティブタグ系システムにより、建物内の空調風向風量制御、照明システムの照度制御や、火災報知センサーなどによる異常の検知通報が可能。 通信事業用
  • 3.9世代携帯電話により動画や円滑なインターネットを実現。
  • 広帯域無線アクセスシステムにより自宅などから持ち出したパソコンを、日常の行動範囲内において使用可能。
  • フェムトセル等の小規模中継装置の設置により、携帯電話など電波の届きにくい屋内での利用が可能。
(青木)
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