洋上カルチャー:
ピースボートの特徴のひとつである洋上カルチャーは、「水先案内人」と称して著名な方々がそれぞれ寄港地から一定区間乗船して講義を行う催し物です。
過去には、池上彰さん、田部井順子さんなど、今では聞けない貴重な講義が聴けたそうです。
この第91回クルーズでは、旭山動物園の坂東元さん、「女性の品格」の坂東真理子さん東ちづるさん、海洋写真家の大方洋二さん、料理家の枝元なほみさんなど9人の講義があり自由に聴講出来ます。
私が面白かったのは、ジャーナリストの松本仁一さんの講義と東山動物園長の坂東元さんの講義でした。
松本仁一さんの講義は、自衛艦に警護されながら、船がちょうど、ソマリア沖を航海する時で、アラビアのロレンスの歴史背景裏話の講義が、とても興味深いものでした。
また、坂東元さんの、ボルネオ島でのパーム油採取を目的とした地球規模の焼畑による環境破壊、それによるオランウータン絶滅危機の講義は、熱のこもった坂東さんの人柄を感じさせるものでした。
「水先案内人」と、寝食、酒、旅を共にしながら、日本から遠く離れた船上で聴く講義は、どれも中身が濃く充実していました。
毎晩キャビンの扉に投函される船内新聞に掲載される講座は、ピースボートが企画する、英会話、スペイン語会話、社交ダンスなど一般的な講座ですが、その他に、乗客が企画する、囲碁、将棋、麻雀、バスケットボール、テニス、ミニサッカー、ノルディックウォーキング、ラジオ体操、卓球、合気道、水彩画、社交ダンス、サルサ、ヨガ他など趣味性の高い多種多彩な講座です。興味があれば、どの講座にも自由に参加出来ます。
幾つもの講座を掛け持ちすると船上生活は、日本での地上生活より、確実に大忙しです。
毎朝、1時間余り、乗客による自主レッスンが、ブロードウェイと称される劇場の舞台や客席のあちこちで、ピアノ、ギター、ウクレレ、サックス、フルート、三味線、二胡など様々な楽器の音が乱れ飛んでいます。
私が南米楽器のケーナで「コンドルは飛んでいく」を習っていると、尺八人やオカリナ人が寄ってきて素人同志のセッションとなる事もありました。
船酔い:
3か月半、七つの海を航海して船酔いについてチョット経験を述べると、昔も今も船旅と船酔いは、切っても切れない腐れ縁だと思います。
北極圏のグリーンランド沖で、低気圧に遭遇し、大自然が牙を剝く大うねりの連続、200メートルを超える巨大船体でも、ピッチング、ローリング、ロッキングの大揺れの連続、デッキは立ち入り禁止となり、巨大な船体のきしむ音と、船底に巨大な波がぶつかり合いドーンと足元から重低音が際限なく響きます。
そんな状況で、私に英語レッスン中のスコットランド出身のポーラ先生は、揺れに慣れないようで授業を受けていても、船が揺れるたびに辛そうな様子でチョット可哀そうでした。私も机のテキストを見ていると船酔いが伝染して来そうでした。
そんな大揺れの状況の最中でも、我が妻は、ケロッとしてどこ吹く風、いつもの様に夕食は完食し、船で知り合った3人友達と何時ものおばさんトークが、止まりません。
船酔いに弱い人は、若い女性に多いようで、繊細なデリカシーの様なものがジャマをする気がします。
船酔いは、多少の揺れも気にしない楽天的な精神が左右して、経験豊富な、いわゆる大阪のオバちゃんタイプの人に船酔いはいませんでした。
でも私のお薦めの対処法は、やはり船酔いには、酒酔いでしょ。
これなら酔ってからでも間に合います。
お気に入りの場所:
船内で私のお気に入りの場所のひとつが船尾のデッキです。
ここには、小さなプールと2つのジャクジーがあり、そこも良いのですが、一番のお気に入りは、船尾にあるイスです。ここに座わるとコバルトブルーの大海原に白い航跡が遥かな水平線まで延びて行き、いつまで眺めていても飽きません。
運が良ければ、クジラやイルカ、トビウオ、カモメ、羽根を休める渡り鳥にも遭遇出来たりしたりします。
特に、自販機で買った缶チューハイを片手にするとまた格別で、大海原に沈む夕陽や大自然の風景をいつまでも眺めていました。
次回寄港地編で終了の予定です。