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 フジテレビジョンでは、2007年2月18日に開催された東京マラソン2007の生放送を行うにあたり、800MHz帯デジタルFPU4波すべてを使用して、移動中継車2台からのHD伝送を行いました。運用日程は、2月15,16日リンクテスト、17日総合リハーサル、18日本番の4日間でした。2005東京国際マラソンでHDでの移動中継を開始して以来、十分な伝送帯域を確保するために800MHz帯のFPU4波運用は必須となり、その都度特定ラジオマイク利用者連盟(特ラ連)を通してA型ラジオマイクとの運用調整を行うことで、円滑な放送を実現してきました。
 東京は、A型ラジオマイクの使用が非常に多い上に、今回は、新しいコースとなり、これまで影響がなかった場所に対し、新たに影響がでることになるのを考慮し、十分な調整期間を得られるよう、2ヶ月前に特ラ連に運用連絡をいたしました。実際にラジオマイクの運用が決定するのは、運用間近になってからが多いためか、頂いた連絡の多くは本番直前になってからでした。今回、特ラ連から、50件以上の運用先の連絡をいただきましたが、実際に先方から調整の連絡を頂いたのは十数件でした。
 通常我々は、特ラ連からFPU送信場所から800mの範囲にある運用先の連絡をいただきますが、原則実際の運用先から連絡を頂いた場合にのみ運用調整をさせていただいています。その際、基本的には、我々がテスト運用の場合には本番運用のラジオマイクを優先し、我々がリハーサル、本番の際には運用をやめることができない状況を説明させていただいています。今回の東京マラソン2007は、朝9時スタートで、11時40分には放送が終了してしまったこともあり、連絡を頂いた全ての運用先と、放送日に運用が重なることはなく、比較的円滑に調整ができたと思います。具体的には、日生劇場と明治座の周囲約500メートルの間で、テスト時にはFPUの2チャンネルと4チャンネル両方を、リハーサル時には4チャンネルのみを停波致しました。
 通常は主にFPUからラジオマイクへの影響が話題になりますが、FPUの受信点から見ると、運用調整連絡外のラジオマイク運用が大きな問題となります。今回、リハーサル、本番の両日で、フジテレビジョン本社で行った800MHzFPUの受信に対し、A型ラジオマイクによる強い混信がありました。私共が使用申請をしたのは、FPUを送信するマラソンコースのみであり、受信基地がその調整範囲に入っていなかったため、フジテレビ横で行われていたイベントでの使用に気がつかず、A型ラジオマイクの影響を受ける形となりました。実際には、当日のレース開始前に先方と直接交渉して、A型ラジオマイクの運用を中止していただいたため、無事放送を終えることができました。
 現在放送局としては、800MHz帯FPUを使用せずに、マラソン・駅伝中継を行うことは不可能であり、代替のきかない重要な周波数であります。しかし、昨今では通信会社など他業種からも800MHz帯の使用要求が出ている状況です。そのような中、A型ラジオマイクとの共存を図りつつ、今後も放送局にとっても必須の周波数である800MHz帯を大切に運用していく必要があります。
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