去る3月31日に行われましたセミナーの概略をご紹介します。前日まで雨降りだったのが、当日は晴天に恵まれ、申し込みの方々のほとんどが参加されました。
今回は、一風かわった内容で仕組んでみました。 |
八幡理事長 挨拶
今日のセミナーはわれわれが関係しているA型だけではなく、どのようなワイヤレスマイクがあるか、どのようなものが開発されているかなどをご紹介したいと思います。
ご承知のようにA型の特定ラジオマイクは特に優れているわけではありません。しかしあるゾーンに限ってその他のものの共用を許さないということで、お互いに安全に運用しようということで特定となっております。
当初、10本、20本のころはお互いに挨拶ですんだわけですが、100本を超えますと、連絡もなくうっかり1本入ってきたために混乱が起きるわけです。
無線を使って情報通信を考えるとき、もう一つ何か出来ないだろうか、ということをお考えの時は今日の解説を聞いていただきながら、実りあるものにしていきたいと思います。 |
1 A型:SHURE社 2帯・4帯兼用ワイヤレスマイク |
ヒビノ株式会社 ヒビノAVCセールスDiv.テクニカルサポート 西郡 篤司氏 |
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ハンドヘルド型U2-A24はダイナミック型(BETA58A、SM58)とコンデンサ型(BETA87A、BETA87C、SM87A)を自由に選択することが可能です。
アンテナはグランドポールアンテナを採用しております。
ボディパック型送信機U1-A24もA、A2兼用です。マイクは、仕込みタイプのコンデンサーマイク、クリップ付きマイク、ヘッドセットマイクと多様なものを用意しています。(B帯は専用マイクになります)
両機種ともグループチャンネル、電池残量は液晶表示することができます。チャンネルプランは国内の一般的なプランにあわせてあります。現場ですばやく選択することの出来るグループチャンネルをプリインストールしています。
受信機(U4D-ABJ)はA2、A4、B帯共用で使え、これはA2、A4、B帯のプリインストールされたグループチャンネルがインストールしています。
アンテナディストリビューター1台で5台のデュアル受信機(A2、A4、B帯混用でも)が接続可能。またアンテナディストリビューターをカスケード接続することにより、最大数のチャンネルシステムを構築できます。また最大の使用の場合でもアンテナは2本ですみます。
アクティブ指向性アンテナ(UA870WB)は、受信範囲が100度以内、アンテナの利得は約7dBあります。+3dB、+10dBのアンテナゲインを内蔵しています。タフなマイクロフォン、シンプルなシステム、まさにプロフェッショナルなUHFワイヤレスシステムです。。 |
2 B型:ワイヤレスモニターシステム |
有限会社 イーエクス・プロ 代表取締役 近藤 誠氏 |
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Ex-proというと皆さんあまりなじみがないかと思いますが、ギターなどのストラップに送信機をつけて飛ばす、ギター用のワイヤレスを作っているのが本業です。
今回の製品は、バンドの方々がモニターが聞こえない、特にライブハウスなどに行きますと歌えないというようなことがあり、そのようなことからイヤーモニターを商品化したのです。法規上ではA帯のステレオ方式をイヤーモニター用ラジオマイクと言います。私どもとしてはB型ワイヤレスモニターシステムと言っています。
ステレオ伝送ですと30mくらいですが、モノ方式ですと60mくらいは飛距離がのびます。モノ方式を擬似ステレオ(AS方式)にしますと頭内の中央定位がさけられ疲労感が少なくなりますし、また、
モニターミキシングが楽になり、SW切り替えで楽器やヴォーカル残響音をステレオフォニックに表現でき、製造費が安価であるというようなメリットもあります。A帯の余剰チャンネルがないような場合、有利です。
2セットを使用してステレオ方式にしますと、飛距離が稼げ、クロストークのないステレオが可能となります。
変わった使い方ですが、最近競艇場から注文が多くきます。これは「CSレジャーチャンネル」という番組で音を飛ばす、というのがあります。実際の観客席からのヤジがひどく放送に耐えられないものなので、ターンマーク(ブイのようなもの)に送信機を仕込んで岸辺まで飛ばし、岸辺の受信機で受けて放送室まで引く、ということもやっています。
私どものB帯のこのシステムはまだいろいろな使用方法があると思います。皆様方のアイディアで使い方を考えていただければ幸いです。 |
3 C型:キャッチミー |
有限会社 アプローズシステム 代表取締役社長 飯塚 貞三氏 |
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C型ワイヤレスマイクは音響関係とか、舞台関係の方々にはなじみが薄いかと思いますが、C型は放送関係の中継、報道に使われておりますが、カテゴリーとしては一般業務用とされており、学校放送、駅構内の放送などの無線として音声を伝搬できる程度のものという認識でした。そのようなことから周波数レンジも7KHzまでです。最大周波数偏移も±8KHzですからせまいですが、いい音質です。いままでは連絡無線ということから、電話の300〜3KHzくらいのスパンで考えられていたのです。
キャッチミーを開発する6年くらい前、連絡無線としては40MHzを使っていたのですが、非常に大きなもので二人がかりで中継の度毎に報道さんと中継さんが運び、セッティングして別のアンテナをたてる、というように苦労の連続でした。
そこで、放送局さんから、連続送信できないかというご相談がありました。連続送信ということはワイヤレスマイクになるんです。ただ、ワイヤレスマイクはほとんど1:1で使うわけですが、これを1:nということで受信機の数を増やし、1:5でやってみたんです。キャスター用だったんですがスタッフの皆さんもモニターしたいということから、同時に聞けるようにしたわけです。
通常の中継ですと、中継車から衛星を通して放送局へ行き、そして戻ってくると音声遅延が発生します。大体250msecくらいです。この中継現場にNTTさんにお願いして専用回線をひいてもらい、レポーターが喋っている声を抜いて専用の戻り回線で送ってくる、という方法だったんです。これがN-1です。
ところがワイヤレスマイクが普及して、レポーター自身は動けるんですが、返しの自分の声が遅れるので喋れなくなるんです。つまりエコーがつくわけです。それを解決する方法として、中継車から無線で飛ばせないか、ということになりました。つまり「衛星から放送局→有線の送り返し専用回線」を無線化したわけです。連続送信で途切れないような波を探しましたら、322MHz、1mWに到達したわけです。これでレポーターさんは楽になり動きに制約がなくなりましたが、小型化しなければならないことがあります。322MHzの受信機はあまりないんです。全くの開発になりました。こういうことで5〜6年前にキャッチミーを作りましてその後、普及してきたわけです。以降、放送局の報道中継には欠かせないものとご好評いただいております。
また当社では超小型特定ラジオマイクを開発しました。AX帯、A帯、B帯とも同サイズで、放送用ランクでは世界最小です。
本日はキャッチミーを中心にお話させていただきました。 |
(まとめ大野) |