受賞者に喜びと自信を与える功績賞へ |
根本 |
まず、これまでの表彰作を省みていただいて。 |
半田 |
第1回の川越市民会館の山下さんは、特ラ連レポートをみて「こんなのあるけど、該当するかな」と私に相談があって推薦したわけですが、このような自分から進んでの応募が多くなって欲しいですね。受賞は当時の館長も大喜びしてくれた。 |
八幡 |
あれはよかった。市民の人たちも会館の存在を見直すだろうし、受賞したスタッフの人たちが自信を得て、それを乗り越え、よりよいものを目指しますから。 |
半田 |
山下さんはその後急逝されましたが、葬儀で市長の弔辞にもこのことにふれていたそうです。 |
金子 |
こういう地元密着型のものの応募はうれしい。 |
田中 |
地元に根ざした文化活動の中でワイヤレスマイクが役立ってるんですね。放送局に長くいる我々とはまた違うご苦労がよくわかりました。 |
半田 |
ワイヤレスマイクは置いておいてもしょうがない。使って始めて効果のあるもんです。その効果を本当に出してるというのはなかなかありませんね。 |
大野 |
その意味では帝劇の伊藤さんから「どうでしょうか」と自薦のあった第1回の「レ・ミゼラブル」。 |
八幡 |
あれはワイヤレスマイクを本格的に使った最初のものですから。 |
金子 |
本来の応募という形で参加していただけたのは、川越と帝劇の2件だけですか。あとは審査員の半田、田中さんの日頃の接触から発掘、推薦していただいたものが多い。これでは先が思いやられます。 |
根本 |
第2回ではNHKの紅白が受賞したんですが、特ラ連が大NHKを表彰の対象にすることにちょっと躊躇したんですが。 |
大野 |
理由は周辺の混信や相互変調まで考慮した綿密な運用計画があって、さすがと思いました。局としてはあたりまえなんでしょうが |
田中 |
第1回は私どもNHKテクニカルサービス、第2回は本局と受賞させていただきましたが両方とも大型番組。限られた波の中でワイヤレスマイクをたくさん使うため、要員動線をシミュレイトして運用の段取りをしなければなりません。とくに紅白のような生放送では外部からの電波に対しての情報収集と事故対策も欠かせません。万全な体制で多くの視聴者の皆さんに喜んでいただいた功績と考えております。 |
金子 |
NHKの技術の方が表彰式で、本当に晴れ晴れと嬉しそうだった。表彰してあげてよかったなと思いました。 |
マイクの本数より内容です |
金子 |
運用賞という名がつくと、どうしてもマイクを何十本も使って難しい運用をしたものじゃないとだめかと思われる。川越さんのなどはたった4本でしたね。 |
半田 |
そうです。川越の場合は作品の成り立ちが完全に地元密着ですし、第2回の島根の場合は出演者が地元の人、岩手の場合も地元の民謡。このような題材を少ないワイヤレスマイクと地元の設備をうまく運用してつくりあげている。マイクの本数の問題ではない。 |
渡邉 |
要は内容。募集のときにワイヤレスマイクの本数なんか関係ない。1本でも2本でも参加できます、と書いた方がいいかもしれませんね。 |
八幡 |
ワイヤレスマイクをチャンネルで分けて使っているとき、その切り分けをフェダーでやってるか、スイッチか、マイクの装着方法は、ワイヤードとワイヤレスを混用したときの音色の違いをどう処理しているか、等々。技術的な工夫についてももう少し知りたい。 |
半田 |
第2回の岩手の民謡は、阿部さんがワイヤードとワイヤレスマイクの音色を考えてやっていましたよ。最近、つりマイクをしなくなりました。みんな身体につけただけで音を拾うから、みんなモコモコになってはっきりしない。 |
金子 |
いまのバラエティなんかみんなそうですよ。もう少し工夫が欲しい。 |
田中 |
マイクの無線、有線の混在、装着などに対する音色・音質合わせは、番組全体の中で考えられるので、それだけ切り出して評価するのは難しい。そのへんは通常のミクサーの素養としてあたりまえのことでもありますから。 |
渡邉 |
たとえば装着一つ取ってみても、それぞれやりかたはちがうが、われわれも工夫と努力をしてるんです。 |
半田 |
公共ホールのほとんどは設備の運用、保守を外注しているので、職員としての担当者は音響の素人が多く、貸しホール化してますね。2億円もかけたような設備が眠っている。持ち込みの音響設備はせいぜい2千万円位じゃないですか。もったいないな。 |
八幡 |
そのとおりなんだが、全国ツアーのようなものは同じ音を出すために機材は持ち込みになってしまうということもあります。使うのは自主公演だけで、それも少ないとなると宝の持ち腐れになりかねない。 |
渡邉 |
もっと使う努力が欲しいね。 |
根本 |
そのためには担当者にワイヤレスマイクの使い方を指導したり、相談相手になってあげられるような機関やシステムがあるといいですね。 |
渡邉 |
音響の団体が連携して取り組む必要があります。お互いの情報交換を密にして補完し合うこともPRしなければ。 |
もっと応募を増やすために |
金子 |
八幡理事長はじめみんなで意義あるものとして作った賞ですから、もっともっと応募数を増やさないと。理事さんがたにも、一人一作品の推薦をお願いして。強制的にお願いするようなものではないけれど、初めのうちですから、そんなこともして加速度を上げていかないと、失速したら大変。 |
大野 |
金子さんはJPPAアウオードの委員長もおやりですが、最初はどうでした。 |
金子 |
あれは出来上がった具体的作品が対象ですから、最初は80数点の参加、現在は130点位。募集にはそう苦労しませんでした。 |
渡邉 |
功績賞は他団体の録音賞と違って、運用という結果が記録に残らないものだから、難しさがありますね。今、賞の周知方法はどうなってます。 |
八幡 |
会員の皆さんのほかは、現在のところ特ラ連レポートで公文協(全国公共文化施設協会)やその他の団体に知らせるほかないんです。 |
金子 |
NHKさんからは応募いただいてるが、なぜ民放さんからないのかな。 |
田中 |
民放さんの参加もぜひお願いしたい。音声の方々の苦労が作品に貢献している番組は多いと思います。期待しています。 |
大野 |
第3回については先日皆さんにお送りした特ラ連レポート68号と一緒にテレビ局にも応募用紙を同封しました。テレビ局に呼びかけたのは初めてです。NHKさんの使っている本数、綿密な計画をみるとしり込みされてるのでは、とも思うのですが。 |
半田 |
また川越になりますが4本ですよ。マイクの数じゃなくて努力と工夫と内容です。募集の趣旨に今度はぜひこれをうたってください。 |
根本 |
ポスターを作ろうかとも考えたんですが、2回の成果を見て、まだちょっと、時期尚早のような感じがして。 |
半田 |
もっと関連の各団体に賞の趣旨と応募用紙を配って、賞の存在をアピールするとともに協力を促した方がいいでしょう。事務局は大変でしょうが。 |
文化向上への貢献度も重視 |
大野 |
公共施設では館長さんや上に立つ方の理解が必要ですね。失礼な言い方で済みませんが、館長が変わると特ラ連に対する態度、理解も変わってしまう。好くなるときはいいけど、どうも反対のときが多いような気がして。 |
根本 |
ある公共の施設担当の方と話したんですが「うちもいろいろやってはいるけど、応募するとなると、書類作ったり、上の許可得たり、面倒なんですよ」。上の方々のこうゆう物に対する理解をお願いしたいですね。 |
八幡 |
会員代表にも関係書類送らないとだめかな。 |
根本 |
話が公共施設と放送局に集中しましたが、PAのみなさんや競技場やパークにもそれぞれ、運用のご苦労はあるでしょうから、参加をお願いします。 |
大野 |
前回あるテーマパークから応募のお話しあったんですが、社内手続きが間に合わなかった。今年は大丈夫だろうと期待してるんですが。 |
八幡 |
まず「応募を増やすこと」「マイク本数にとらわれず応募していただきたい」「賞の周知に努めること」そして「ワイヤレスマイクを通して文化の向上に対する貢献度」も賞の大きな目的として重視したいと思います。ありがとうございました。 |