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昨年、会員放送局を対象にワイヤレスマイクに関するアンケート調査しましたが、電池の項目の回答が多数あり、いつも手のとどくところにある電池だけに意外と知らないことが多いのに気づきました。日立マクセル株式会社様に解説をお願いしましたのでその一部分ですがご紹介いたします。 1.電池の種類 ひとくちに「電池」と言っても、その用途によって性能や形など様々に違っています。 化学電池(化学反応を利用)には一次電池(非充電型で使い捨ての電池、マンガン、アルカリ、リチウムなどの乾電池)と二次電池(充電型で充電することで再利用可能な電池、ニッカド、ニッケル水素などの電池)等があります。 太陽エネルギーを利用する太陽電池、そして未来のエネルギー装置として注目されている燃料の燃焼反応を利用する燃料電池に大別されます。なお、二次電池を蓄電池と呼ぶ場合があります。 電池の種類
2.単三アルカリ乾電池 a.概 要 正極に二酸化マンガン、負極に亜鉛、電解液に水酸化カリウムを用いて構成されてい ます。アルカリ乾電池は1949年、米国のRay-O-Vac社が「クラウンセル」の名称で扁平形電池を発売したのが最初とされています。その後、マンガン乾電池と同一寸法の円筒形アルカリ乾電池が発売されました。 日本では1964年、日立マクセルが生産を開始しました。アルカリ乾電池はマンガン乾電池と比べて放電容量が大きく、内部抵抗が小さいので、大電流放電に適しており、近年、消費電流の大きいポータブル機器が開発されて需要が急速に伸びています。 1999年度の国内生産数量は、マンガン乾電池が14.2億個/年に対して、アルカリ乾電池は15.5億個/年とアルカリ乾電池の数量が多くなっています。 b.特性 アルカリ乾電池は、内部抵抗が小さいため、大電流放電に優れており、連続放電と間欠放電性能に差が少ないので、連続放電で性能を表す場合が多い。デジタルカメラ、ポータブルMD/CDプレーヤー、ヘッドホンステレオ、ポータブル液晶TV、情報機器端末、などの小型で高出力を必要とする機器で使用が増えており、過去5〜6年の間に種々の改良が加えられ、約2倍の伸びを示しています。 その主な改良点は (1)電解二酸化マンガンの高電位化。 (2)正極缶の薄肉化による活物質量の増加。 (3)黒鉛の微粒子化による黒鉛量の減少。 (4)負極亜鉛の微粒子化による利用率の向上。 などが挙げられます。 c.乾電池の寿命とは 電池の寿命を正確に知るには電圧計を用いたり、市販のバッテリーチェッカーでも簡易的に寿命を知ることが可能です。また、与えられた機器の動作する範囲の放電電圧を何時間維持出来るかが寿命と捉えることも出来る、これは動特性の定義付けとして有効です。この動特性寿命をワイヤレスマイクに置き換えるとワイヤレスマイク製造メーカーの考えで決まってきますが、最低電圧が大体1セル当たり1.0〜1.15Vの範囲で設定され、アラームを点灯させていいます。使い始めからこの最低電圧になるまでが寿命となります。ワイヤレスマイク製造メーカーでは、取扱説明書の中に乾電池の寿命として常温連続使用で約10時間、15時間などと使用可能時間が記されています。このデータについて実験してみましたが、常温で変調をかけなければおおむね間違いでないことが立証できました。 3.「性能」と「価格」について 一般的に電池の価格は電池の性能に比例しています。単三乾電池では、アルカリ乾電池とマンガン乾電池の性能を比較すればアルカリ乾電池の性能が約3倍良いですが、価格ではマンガン乾電池の方が約3倍安いです。同一製造メーカー・同一種類・同一品質では、製品の流通機構などによる販売価格への跳ね返りがあるので販売価格が違ってくる事がありますが、性能的には全く変わりません。しかし買うならば使用推奨期限が長く、新しい品質・製品を購入した方が良いでしょう。 新製品が開発されて市場に出た場合、極力、現価格を上げない努力を製造メーカーがしています。電池製造メーカーによる性能の違いをどう見るかは、ユーザーが使用する機器にあったものをどう選択するか、現場担当者の経験値に頼るところが多です。又、経済的な判断も大きな選択肢となります。 資料提供 日立マクセル株式会社 エナジーソリューション事業グループ 電池営業本部一次電池営業部 (注)電池の寸法、構造、使用材料、使用環境条件等はワイヤレスマイクハンドブック改訂版に掲載予定です。 |