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10月3日〜7日まで、幕張メッセ において『CEATEC JAPAN 2000』が開催された。A型ワイヤレスマイクが多く使われたこのイベントに6日午後、行ってみた。 会場は、ネットワークコンピューティングを中心としたビジネスステージ。 電子デバイス、部品の産業ステージ。 一般コンシューマー、個人ユース向け製品を対象とした暮らしのステージの3つに分かれていた。 IT革命という言葉が後押しするかたちで、国内の家電および部品メーカーはもとより、 台湾の多くの部品メーカーもブースをかまえて、非常に活気があるイベントとなった。人ごとのように思っていたITに係わるディジタル技術も、生活に密着する形で進歩してきており、全ての人々がこれを享受できる時代になってきた。中でも移動体通信、とりわけケータイの進歩は、ドッグイヤーと言われる程すさまじい。ケータイがこれだけ加速度的に普及した裏には、インターネットという技術と組み合わせることで、1+1が2以上になる新たな価値ができあがったからであり、それが生活レベルまで確実におりてきたということであろう。これらはまた、近い将来整備される光ファイバー網と絡むことで、夢のような使い方が生まれる可能性もある。 MPEG−4という、新しい動画圧縮技術をいくつかのメーカーが紹介していたが、現行のMPEG−2にくらべてエラーに強いという特徴がある。これに、伝送の高速化と情報量の増大が可能になれば、例えばコンサート会場では、マイクに仕込まれたカメラで、アーティストのアップ画像を観客がもっているケータイにサービスすることも可能だし、会場内に限らず他の場所にいても、ケータイひとつあれば情報をライブで受けとることができ、まさにエリアフリーでコンサートを楽しむことができる。大きさについても、 今以上に薄く小さくなっていき、電卓の進歩と同じ道を歩むことになろう。 また、バッテリーの技術が進歩することも考えられ、ワイヤレスマイクにもいい影響がでるかもしれない。また、 世界どこでも使えるということになると、世界標準化が必要になってこようが、これには多少時間がかかるようだ。日欧方式を採用している国が圧倒的に多いし、まだ米国のアナログからディジタルへの移行率が、かなり遅れているからだ。 しかし、このように便利になることに対して喜んでばかりはいられない。問題点もいくつかある。ひとつはプライバシーの問題。送り手がいて受け手がいるという図式は、有線に限らず電波という無線の世界でも成り立つわけである。受信機に保存または記録させる機能をもたせると、それを複製することもできる。電波は目に見えないだけにそういった実態がつかみづらい。受信する側にもきびしいモラルを求められることになるであろう。 また、新しい技術を享受しようとすればするほど、それを拒む動きもでてこよう。ちょうど喫煙の自由に対して嫌煙権が生まれたように。今後、一定の制約のもとでこれら機器を使用せざるを得ないケースが増えてくると思われる。 いずれにしても、電波というのは限られた資源であるということを考えながら、生活にうまく利用していくことが必要だと思う。
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