テーマ | Smart Innovation(スマートイノベーション)未来をつくる最先端技術 |
会 期 | 平成23年10月4日(火)〜10月8日(土) 8日無料 |
会 場 | 幕張メッセ 展示ホール1〜8/国際会議場 |
主 催 | CEATEC JAPAN 実施協議会(JEITA CIAJ CSAJ 3団体で構成) |
後 援 | 総務省、外務省、経済産業省、千葉県、NHK、民放連、経団連、他 |
入場者数 | 172,317名 |
出展社数 | 586社・団体(海外18カ国) 2,243小間 (主催者発表) |
特ラ連会員数 | 21社(者) |
使用マイク数 | 27社 87本 |
チャンネルプラン | 特ラ連 事務局 石川 |
テーマどおり、どこを見てもスマートという文字が見えた。まずスマートという文字の意味を、賢い、気の利く、利口な、と最初から捉えていた人は柔らかい頭の持ち主である。私のような年代の者にとって、携帯電話のスマートフォンはなぜか口にするのもこそばゆい言葉だった。スマートフォンを最近ではスマホというようだが、さすが略称大国の日本である。テーマのスマートをこの場合は賢いととるか、現代的ととるか難しい。いずれにしろ結構なことである。
NEC矢野会長は
「これからは省エネ、創エネ、蓄エネ、制エネ(エネルギーの制御)の全てを使わないといけない。イノベーションを実現するには、スマートフォンなどのスマートデバイス、クラウド、ワイヤレスブロードバンドの三つの基盤が不可欠である」と力説。(電波新聞より)
今回は8ホールからまわってみた。
半導体・デバイス、材料・電源、ビジネス、ホーム&パーソナルゾーンの順である。
まず気になったのは、物理的に接触もなく、ワイヤレスで電力伝送するということ。
これはなじみのないものだけに、最初は戸惑ったが、要するにこういうことである。
手短にいうと、携帯電話やパソコンの充電にワイヤー接続しないで(つまり接触ゼロ)電力を送れないか、ということである。電界結合方式というものがあるが、送電モジュールで交流に変換し、受信側に伝送する。間には送電電極と受信電極で構成されたキャパシタがあり、受信側では送られてきた電力を整流回路を通して直流電力にする。私のつたない説明でも分かったかたは、相当詳しい方だ。もう一つ電極誘導方式というのがある。これはコイルを使う方式。これらを実用化するには各種製品に受信側の電極をセットしなければならない。しかしスマートホームに入り込むのは時間の問題でしょう(村田製作所、TDK、田淵電機、など)。
一昨年のCEATECで驚いたコンデンサの容量ですが、また容量が増えた。最初はμ(マイクロ)がなくなり、F(ファラッド)の記号だけでびっくりしたのが、今回は数千ファラッドのものが沢山展示されていた。あまりの進歩の早さに驚くだけである。私のようにオーディオ機器だけに使う者は相手にされない。カーエレクトロニクスなどで、高性能コンデンサは生活の中に入り込んできている。それらのパーツの性能アップは眼を見張る。LED照明や太陽光発電に使用される大容量電気二重層キャパシタは、耐圧が低いのでシリーズにつなげばオーディオにも使えるコンデンサである。これだけ日本には凄い部品があるのです(ニチコン、日本ケミコン、など)。
オーディオ製品ではフォスター電機がフォステクスブランドの平面スピーカなどを出品。イヤーホン、ヘッドホン、NHKのモニタースピーカに採用されて有名になったスピーカの同型のものなどもあった。平面スピーカは、小さいユニットを多数組み合わせたもので、平面波のため遠方まで減衰の少ない音を届けることができ、PA用には最適のもの。これは当連盟の会員、ドリームの製品と同じ方式。イヤーホンはカラフルでコガネムシのようなかわいいもの、イヤリングとコンビネーションで使えば面白そうだ。
タムラ製作所は、暮らしを支えるエネルギーとあかりに貢献、というテーマで、高さ2メートル、重量2トン強という巨大なトランスを展示していた。風力発電や太陽光エネルギー発電に欠かせない三相リアクタである。さすがトランスのタムラです。これはヨーロッパやインドで生産開始とのこと。
LEDの光の応用で電波を使わずに通信するデモンストレーションも行っていた。
4Kテレビを数社展示していた。4Kというのは、昨年インタービーで初めて出品されたもので、要するにハイビジョンの約4倍の精度のこと。ソニーでは世界初の家庭用4Kプロジェクターを展示。テレビ放送はまだですが。つい先だってまでNTSCだったのが遠い過去のようです。東芝は4Kテレビにメガネなしでも見られる裸眼3D機能も搭載したそうです。シャープも年内には商品化するとのこと。各社、地デジ移行後、薄型テレビ販売で苦戦中です。新技術で消費を促したいところでしょう。
ソニーでは4K×2Kカメラを、9月にアムステルダムで開催された「国際放送機器展IBC2011」で発表、高い関心が集まったそうで、今年のインタービーで見られるでしょう。
ソニーは更にすごいものを出しました。3Dデジタル録画双眼鏡です。長蛇の列で私は見ることが出来ませんでしたが、かつてのソニーが蘇ったようです。
スマートホーム作りの一貫としてのテレビの薄型が主流になり、音のことをどこかに忘れてきたメーカーは反省しているようです。当たり前です、猛省すべきです。
NTSCの真空管時代の音のほうがよほど良かった。
薄型は音質のことなどまったく考えていないのではないか、と思われるような製品ばかり、スピーカの背面の容積はゼロに近い。これで良い音が出るわけがない。外付けなどという他力本願ではなく、研究すべきです。映像のことばかりに眼を向けてこれでは片手落ちもいいところ。良い音とは、と真剣に考えるべきです。苦言を贈ります。
以上、ざっと拝見した感想です。
奇しくも会期中の10月5日、アップルのスティーブ・ジョブズ氏が56歳という若さで世を去った。
私のようにMacからPCの世界へ入った人は多いと思う。工場を持たないアップルはジョブズのねばりとアイディア、美意識で、iMac、iPad、iPhone、iTunesなどを世に送り出し見事栄光に輝いた。ソフト・バンクの孫正義社長ではないが、iRobotも考えていたのではないか。
売り方がうまいだけだ、などと犬の遠ぼえのようなやっかみが聞こえそうだ。アイディアと決断力、そしてその結果がものを言う時代です。