日時:平成22年11月11日(木) 午後3時00分〜5時15分
場所:大阪マーチャンダイズ・マート2F
「ワイヤレスマイク デジタルとアナログの干渉実験」
今回のセミナーは、当連盟の技術委員長である株式会社タムラ製作所の宮前真二氏の協力を得まして、同社のデジタル特定ラジオマイク(A型)を用意して頂き、またアナログ特定ラジオマイク及び、拡声機材は、近畿広域圏の幹事局であります讀賣テレビ放送株式会社様に準備して頂きました。
場所は、大阪マーチャンダイズ・マート2階5号会議室にて懇談会に先立ちまして行われました。
1. 「デジタルとアナログの干渉実験」
使用機材は、コンパンダタイプのアナログ特定ラジオマイク(110kHz帯域)及び、デジタル特定ラジオマイク(288kHz帯域幅)を使用し、干渉実験を行いました。
- @ 125kHz間隔での配置
- A 250kHz間隔での配置
- B 500kHz間隔での配置
の3種類の実験を、パワーポイントでイメージ図を映しながら行いました。
結果は、@125kHz間隔では、デジタルアナログ双方に干渉が発生して、アナログでは「ザー」というノイズ発生後スケルチが閉じ、デジタルでは無音になりました。
A250kHz間隔では、双方ともに問題なく使用出来ました。これは、アナログが最大変調まで変調が掛かっていないため帯域幅が110kHzより狭いこと及び、アナログの受信機のフィルター特性が優れているために干渉が発生しなかったものと推測されるとのことです。デジタルの送信機をアナログ受信機のアンテナに接触するくらい近づけると125kHz間隔の時と同様なノイズが発生しました。B500kHz間隔では、当然ながら問題なく使用出来ました。
実験は機材の都合上多チャネルの試験は行えませんでしたが、アナログデジタル混在時の干渉の具合など確認できました。
また追加の実験として、弱電化時の音の切れ方を実演して頂きました。切れ方はいきなり切れるのではなく、「もごもご」と言う音が混じったようになったあと切れるような感じでした。昨年、中国地区の「FPU・ラジオマイク運用連絡懇談会」セミナーでソニー様のデジタル特定ラジオマイクを視聴した時とは異なる音の切れ方でしたが、タムラ様も方式は異なるものの突然の音声断や大きな破裂音にならないよう工夫をされているようです。
2.質疑応答
同時使用チャネル数、遅延時間、2次電池が使用可能か、PCで各種の設定が可能かなどの質問が出ました。同時使用チャネルは、A型のみで72チャネル、B型と合わせると82チャネル使用可能とのこと、またB型の遅延時間を犠牲にすれば87チャネル使用可能とのことで、今までのアナログから比べると飛躍的に多くなった気がします。
また遅延時間は、受信機からアナログアウトで2.5ms、デジタルアウトで2msとのことで業界最速のようです。今回はデジタルアウトをタムラ様のポータブルデジタルミキシングコンソールに入力してモニタースピーカで試聴しましたが、デジタルコンソールを経由しても約3msでした。参加者の感想としては、全く気にならないとのことで、アナログと対等に使えるのではないかと言う印象を受けました。
またレベルメータと音切れの関連を気にされる方が多く見受けられました。
これは、デジタルの場合、アナログと違いS/Nの悪化でエリアぎりぎりであるかを見極めることが出来ないのでレベルメータで判断しようとしているようです。
今回の実験は、特定のメーカの機材を使用した結果であり必ずしもすべてのメーカのものが同じようにはならないとのことですが、会員の皆様が使用しているプロ用機材では同様の結果が得られるのではないかと思われます。
(田中)