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「ワイヤレスマイクの基礎知識」

講 師:ゼネラル通商株式会社 

石川 正太郎

日 時:平成20年11月26日(水)
場 所:東京都新宿区新宿 東京厚生年金会館 葵T
 先着50名の募集に対して78名のご参加をいただき、会場いっぱいの受講者で盛況でした。


 ワイヤレスマイクの基礎知識
  @電波法、
  A電波の性質、
  Bイヤー・モニター、
  Cデジタルラジオマイクについて、
 講師の石川様(ゼネラル通商梶jに解説していただきました。

(1) 電波法について
 20年程前に微弱電波の許容値が改正され、改正前は、100mの距離においてその電界強度が15μV/m以下であれば微弱電波として認められていましたが、改正後は、3m法という測定法にかわり、電界強度が322MHzまで及び150GHz以上は500μV/m以下、322MHzから10GHzまでは35μV/m、10GHzから150GHzまでは3.5 fμV/m(fの単位は、GHz)以下に電波の許容値に改正されました。一番使い易いとされているUHF帯の周波数での微弱電波の使用が厳しくなりました。
この状況に対応する為に、現在のA型ラジオマイク、B型ラジオマイクが出来ました。(その他にC型・D型ラジオマイクもある。)A型ラジオマイクについては、FPUと共用するのであれば使用しても良い事になり、特定ラジオマイク利用者連盟(特ラ連)が発足してFPUとの運用調整を始め、A型ラジオマイクがスタート出来ました。
 A型ラジオマイクとB型ラジオマイクの大きな違いについては、使用する周波数帯が違う事と、A型ラジオマイクは、免許が必要な事や前記の理由から運用調整が必要であり、B型ラジオマイクは免許が不要で、運用調整が必要ない為、購入直後から、自由に使用できる点です。 (表1参照)  表1
 参考までに、ラジオマイクの規格は、社団法人電波産業会(ARIB)で決めています。A型ラジオマイクは、“RCR−STD−22”、B型ラジオマイクは、“RCR−STD−15”としてARIBから標準規格として発行されています。
社団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)で、無線機器が法律に合致しているかの検査を行い、合格すると技術基準適合証明が発行されます。この検査に合格した製品が商品として販売出来る様になります。
(2)電波の性質
 電波とは、目に見えないものであり、イメージの世界になってしまいます。むかし皆さんも学校の物理で右ネジの法則というものを習ったと思います。直線状の導線に電流が流れると電流を中心とする同心円状の磁界が出来て、その磁界の向きは、電流の方向にネジを進めた時、右ネジの回す向きになります。その電界と磁界が振動しながら進んでいくという波のイメージが電磁波です。この説明を図式で表したものが図1です。
 図1 日本実業出版社 刊
   「図解電波のしくみ」より
  図1-2 電磁波のなりたち

 電磁波は、山と谷を交互に描く波なので、山と山の間隔の長さを波長と言い、一秒間に進む波の数を周波数と言います。また、周波数帯は、それぞれの帯域によって呼称と使用用途がわかれています。(表2参照)
   表2
 例えば、LF帯(長波帯)30kHz〜300 kHzは電波時計などに使われており、VHF帯(超短波帯)30MHz〜300MHzはVHFテレビ放送やFMラジオ放送などに使用されています。普段、皆さんが主に使われているワイヤレスマイクの周波数帯は、UHF帯(極超短波帯)300MHz〜3GHzの帯域です。ワイヤレスマイクの周波数割り当てとしては、D型:70MHz帯、C型:300MHz帯、A型・B型:800MHz帯と呼ばれています。
 ワイヤレスマイクの運用上で最も重要なのが、チャンネルプランです。電波の干渉により発生する電波と、使用する電波が干渉しない様に計算してチャンネルプランを作ります。
 現在、特ラ連のホームページにてワイヤレスマイクを多チャンネル運用する時の干渉計算プログラムをダウンロード出来る様になっております。是非ご活用頂ければと思います。
 その他、インターモジュレーション(相互変調)についての計算式、受信方式のスーパー・へテロダイン方式とダブルスーパー・ヘテロダイン方式、ノイズリダクション方式、ダイバシティ受信システム、ゼンハイザーマイクロポート日本仕様、同軸ケーブルのケーブルロス、ワイヤレスマイクの運用の要点などについて、解説していただきました。
ゼネラル通商(株) 石川 正太郎氏
(3)イヤー・モニター(通称:イヤモニ)
 最近では、テレビやコンサートなどでアーティストや演奏者たちがイヤー・モニターを耳につけている姿をよく見かけるようになりました。特に大きなコンサートでは、イヤー・モニターを使わないとモニタースピーカー(フォールドバック用)を多数置く必要があり、舞台上の演出も制限を受ける為、今ではイヤー・モニターは、必須アイテムになっています。
 イヤー・モニターの利点としては、フィードバック(ハウリング)が無くなる事や、モニタースピーカーに制限されずに出演者は自由に動き回れること、モニタースピーカーの搬出入、運搬、設置等が必要なくなり経費が節約できる等のメリットがあります。但し、問題点として周波数帯がA型ラジオマイクと共用になった事やRF出力が10mWになった事があります。
 SENNHEISERの基本的な見解では、送信機と受信機を一緒に使う場合、送信機と受信機の使用周波数を24MHz以上離す必要があり、小規模な使用でも、最低8MHz離れている必要があるとの事です。

(4)デジタルラジオマイク
 2007年8月1日にB型デジタルラジオマイクが告示され、2008年4月頃に製品としてメーカーより発売されました。従来のアナログ方式の規格と比較して使用周波数、送信出力、スプリアス発射等の変更はありません。
 主な変更点としては、占有周波数帯域幅がアナログ方式の場合は110kHzでデジタル方式は192kHzと、デジタルの方が、占有周波数帯域幅が広くなっています。デジタル方式は干渉妨害特性に優れていて同一エリアでの相互変調妨害を考慮する必要が無く、デジタル方式に必要なD/U比(希望波/妨害波)は20dBになる事により等間隔配置の多チャンネルプランが出来ます。その為、アナログ方式の6chよい多い10ch使用が可能になりました。
 B型デジタルマイクの特徴については、@高音質伝送が可能(アナログコンパンダーを使わない為、有線マイクに近い音質が得られる)、A安定した伝送が可能、B多チャンネル運用が可能、C秘匿性(データを暗号化する事により、盗聴防止が可能)、D各種データ伝送が可能等です。そして、A型ラジオマイクについては、平成21年にはデジタル化される予定です。
 最後に、講師の石川様(ゼネラル通商梶jより、自社製品のデジタルハイブリッドワイヤレスについての紹介がありました。
 今回の20年度特ラ連技術セミナー「ワイヤレスマイクの基礎知識」の資料を、講師の石川様よりご提供頂きましたので、特ラ連のホームページにて掲載しております。「ワイヤレスマイクの基礎」(pdf 681KB)
 参考にして頂ければと思います。
 今後の特ラ連技術セミナーの内容につきましても、今回のアンケート調査のご回答や今後の皆様方の現場での貴重なご意見などをお聞かせ頂きながら、当技術委員会として、参考にして参る所存でございます。
まとめ 技術委員 稲留 浩
参加者を対象にアンケートを実施しました。貴重なご意見を頂きましたことに感謝申し上げます。今後の参考にさせていただきます。また、機会をみつけてアンケートの結果をご報告したいとおもいます。

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