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 社団法人・日本演劇興行協会(会長 永山武臣 松竹株式会社取締役会長)が毎年、「演劇製作、興行の向上発展に寄与する、または寄与したと認められる団体及び個人に対する助成」を行っていますが、今年度(平成15年)の受賞団体として特定ラジオマイク利用者連盟が選ばれ賞状と助成金をいただきました。
 受賞式は平成16年1月22日午後2時から東劇ビル(東京都中央区築地4−1−1)18階会議室に、受賞の当連盟ならびに嘉穂劇場(福岡県飯塚市)、今西春次氏(株式会社東宝コスチューム)と授賞側の日本演劇興行協会役員が列席して開かれました。当連盟からは八幡理事長、田中専務理事が出席、永山会長から八幡理事長に賞状と助成金(50万円)が手渡され、列席の皆さんから大きな拍手を受けました。
 特ラ連の受賞に対する同協会の推薦事由は次の通りです。
 「平成8年、郵政省の電波法改正により、舞台で使用するワイヤレスマイクの使用本数が大きく制限され、それまで30〜32チャンネルを使用して上演していたミュージカルは、事実上、公演できなくなるという危機に直面しました。この状況を打開するため当協会が中心となって演劇、音楽関係団体が集まり、専門委員会を構成して、対策を協議した際、この分野の技術専門知識を持つ特定ラジオマイク利用者連盟は電波を管理する郵政省、放送事業者との交渉窓口になって、演劇公演におけるワイヤレスマイクの重要性を訴え、さらにマスコミ関係の協力もあってマイクの使用本数は維持され、現在、舞台公演が支障なく行えるようになったもので、この交渉における連盟の功績は極めて大きいものであります。
 また、演劇の補助的存在であった音や音楽がある意味では主役になった今、連盟は現在、全国の劇場、ホール、イベント等でワイヤレスマイクを使用するとき、相互に電波障害が発生しないよう、いわば電波の交通整理を行う業務に携わる一方、想像を超すエレクトロニックスの進歩に合わせて、将来予想されるワイヤレスマイクのデジタル化を研究する等、演劇劇場の公演に大きく貢献しており、今後の活躍を願って推薦するものであります。」
 昭和61年(1986年)の電波法改正による新しいワイヤレスマイクの制度にそって、特定ラジオマイク(A型ワイヤレスマイク)が誕生したのは平成元年。FPUの4帯(797〜806MHz)と共用の周波数帯で71波の使用許可を得たが、計算上で同時に使えるのは10波だけ。これではミュージカルや大掛かりな舞台にはとても足りません。平成6年には今回の授賞元である社団法人・日本演劇興行協会をはじめ関連10団体が郵政大臣宛てに増波要望の陳情書を提出、業界が一丸となって運動を起こし、その結果、翌7年6月、FPU2帯(779〜788MHz)も使用可能になり、どうにかミュージカルの幕も揚がるようになりました。平成8年5月に10年間の旧制度との併用期間が終了、現制度に全面移行し、現在に至っています。
 特定ラジオマイク利用者連盟は平成2年設立。現在までの14年間に会員数650、会員の所持するA型ワイヤレスマイクは約7,800本と大きな組織になりました。放送局の持つものも合わせると、全国で2万本近いA型ワイヤレスマイクが使われているだろうと言われています。全国から特ラ連事務局に寄せられる運用連絡は1日平均180件、これに基づく干渉、混信を防ぐための調整依頼をする連絡は1日平均250件にのぼります。
「電波の干渉を未然に防ぎ、クリアーな運用」は運用する皆様のご協力なしにはできません。
 また、この間にイヤモニターの制度化を実現させ、現在はデジタル化に対するユーザーの代表の一つとして、検討審議に参加しています。今回の受賞は「これまでの努力と今後の努力への期待」を総合的に評価していただいたものと思います。受賞後の懇談でも特ラ連発足時、郵政省事務次官だった森本哲夫・日本オンライン整備株式会社会長と八幡理事長は当時を振り返って話しが弾んでいました。
 社団法人・日本演劇興行協会は昭和45年(1970年)発足。演劇興行を取り巻く諸問題に取り組むだけでなく、演劇の普及と健全な発展を通して日本の文化向上に寄与することを目的としています。その事業の一つが今回の授賞と助成。これまで16回の授賞をしていますが、音響関係団体への授賞は初めてです。現在、同協会会員は東京・歌舞伎座をはじめ大阪、名古屋、京都、福岡の有名な9社16劇場で、そのうち12劇場がA型ワイヤレスマイクを持ち特ラ連の会員でもあります。
 今回(平成15年度)特ラ連と共に受賞された方々の推薦事由の概略はつぎの通りです。
嘉穂劇場:江戸期の歌舞伎小屋の様式を今に伝える民間劇場の一つとして貴重な存在。平成15年7月の豪雨で深刻な被害を受け、再会の目途は未だ予断を許さない状況にあります。日本の演劇劇場の歴史に長い足跡を残し、今も現役で活動を続ける貴重な劇空間である嘉穂劇場の復興は、演劇文化の振興につながるもので、その再起を願って推薦するものであります。
今西春治:1961年京都衣裳株式会社(現・株式会社東宝コスチューム)に入社、以来40年余にわたり舞台衣裳の製作分野で活躍。新国劇の島田正吾、森繁久弥、山田五十鈴、森光子など多くの俳優の衣装を手がけました。単なる舞台衣裳の枠を超えて劇空間を豊に、瑞々しく彩る氏の作品の数々はその真摯な仕事ぶり、後進の指導育成に力を注ぐ熱い思いとともに、高く評価されます。今後の一層の活躍を願って推薦するものです。

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