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 2002国際放送機器展(Inter BEE2002)が、平成14年11月20日〜22日まで幕張メッセ展示場において開催された。
 今回の焦点はなんといっても、今年、一部都市圏で始まる地上波デジタル放送。それの核となるHDTVについて、カメラを中心とした周辺機器が多く展示されていた。
 その中で、通信機メーカーが発表したOFDMに対応するFPU装置は、HDTV信号の伝送も可能な構造になっており、人気をはくしていた。
 また、パソコン用として、HDTV画像をリアルタイムでMPEG2ストリームに圧縮する、エンコーダーボードを開発したメーカーがあった。デジタル放送局にある送出用エンコーダーと同程度の能力をもっており、小型化のメリットにより手軽にサーバーへの蓄積や、ネットワーク伝送が行えるという。
 インターネット中継放送システムを紹介したメーカーは、参加型双方向サービスを可能にするなど、デジタル放送機器を完備した本格的なスタジオを作って、ブロードバンド対応に意欲的に取り組んでいた。衛星を使ったシステムよりコスト的に有利に行えるメリットがあり期待できる。
 老舗の音響機器メーカーからは、BWF−J方式のMOディスクレコーダーが展示。録音同時モニターができる点を強調していた。BWF−J方式とはヨーロッパ放送連盟(EBU)が策定したBWF(Broadcast Wave Format)をもとにしたもので、2チャンネルデジタルオーディオ・ファイルフォーマットの標準化をめざしたものである。6mmのアナログテープに変わる記録媒体として注目されている。

 総務省は先ごろ、BSアナログ放送停止を2011年とする方針を固めた。
 笛吹けど踊らずといった状況が続きBSデジタルの普及が思った以上に進まない現在、民放系のBSデジタル局各社は2007年の実施を望んでいた。アナログとデジタルの共存に早くわかれをつげ、完全デジタル化を急ぎたいと考えるのは、厳しい経営状況が続く現在、当然だと思う。こういう状況のなかで、放送法により規制されていた地上波キー局から系列BSデジタル局への出資比率を、総務省の放送政策研究会は、現在の3分の1未満から2分の1以下に緩和することが適当だとする案をまとめた。経営の一体化による建て直しを視野にいれた支援に加え、番組内容などソフト面の充実、またBSデジタル放送はある意味、全国放送といえるわけで、その強みを生かし視聴者の心をつかむようなコンテンツ制作や配信がはかられれば、デジタル放送への私たちの関心がいっそう高まり、受信機の低価格化が進むことで普及に加速がつき、地上波デジタル放送に対して追い風になるだろう。

 デジタルの強みは、圧縮技術を使って大量の情報を送ることができること。身近にあるテレビが、パソコンと同様に情報端末となることで、多くの人が情報化社会へ参加できることになるので、総務省が推進しているIT、ユビキタス社会の実現とも絡んで、受信機の普及が大いに望まれるところだが、景気の回復にも明るい展望はなく、しばらくは厳しい状態が続くであろう。それでも、普及スピードはカラーテレビやVTRのそれに比べて早いとする統計結果もあり、悲観的になる必要はないのかもしれない。
 東京、大阪、名古屋の都市圏の民放16社とNHKは、今年12月1日に地上波デジタル放送をスタートすることを明らかにした。試験放送が見られるのは秋以降になるという。
アナアナ変更(アナログ周波数変更対策)が必要な世帯は、全国で400万世帯強。
国が負担する変更費用は1,800億円くらいとみられている。国をあげての一大イベントだけに、無関心ではいられない。育てあげていくのは私達。積極的に参加していくという気持ちをもたないといけないだろう。
(青木)
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