ちょっとブレイク
 今年の冬はアメリカ等も大寒波に見舞われ、日本でも北国は都市が機能しなくなるほどの寒さだ。雪害により亡くなった方もあり、心が痛んだ。また被害に遭われた方も多かったと思います。しかし春の来ない冬はありません。昔から言われています。「冬は必ず春になり、秋にはもどらない。」それと同じように「闇が深ければ深いほど暁は近い」という言葉がある。私も苦しかった時に、何度この二つの言葉に励まされたことだろう。『大丈夫、何かおおきな意味のあることなのだ』と思い、歯を食いしばってがんばりました。
 季節は冬。寒波の到来はシベリア地方の寒気団が南下して朝鮮半島を通過して日本列島を襲う。韓国も例年と比べ寒さが厳しいらしく、新年になって電話をくれたソウルのビジネスフレンドが「明けましておめでとう」という前に、『ソウルは寒いです。いつもより』と開口一番言っておりました。
 私も経験済みだが、2月のソウルは半端ではない寒さだ。日中でもマイナス15度にもなる。ホテルのロビーから車寄せまで20メートルもないが、我々ビジネスマンは防寒着をきているわけでなく、ビジネススーツの上にコートを着込んだだけなので、半端な寒さではない。加えて車内は完全に冷凍庫と化している。いざ出発となるが、驚くことに陽の差し込む側の窓ガラスは霜が解けて外が見えるが、10分程走っても、反対側の窓は真っ白に霜がついていて凍ったままだ。外を歩いている人をみると意外にも、コートなしで颯爽と歩いている。おそらく体感温度が違うのだろうが、そこに住んでみなければ決してわからない感覚である。ところで何故「張るとうがらし」かというと、薄布に包んだ唐辛子を肩こりの激しいところに当てたり、底冷えのする時は靴の中の指先に入れれば、血液の流れがスムーズになって、温まる。唐辛子の効能はこれ以外にも、ダイエット効果、免疫力の増強など色々ある。
 どうりで、韓国ドラマに出演している女優さんはスタイルが良いし、ユニット歌手の均整のとれた脚線美は見事だ。これはきっと唐辛子を幼少のころからたくさん食べていたからに違いない。しかしあの辛い物を毎日食するのだから「胃」が持つのだろうか?と心配になる。
 唐辛子に含まれる「カプサイシン」という辛味のもとは皮膚からの吸収もあり、また、食の世界では、唐辛子は『コチュ』と云って韓国料理の根幹を成す素材で、これがなくては韓国料理は成り立たない。アガシ(オネーさん)がテーブルまでやってきて、コンロの上の極上骨付きカルビをハサミでチョキチョキ切ってくれ、食べやすくしてくれる。ちょっと甘い口当たりの真露(焼酎)を飲む。また、この酒にはキムチがよく合う。辛いが、日本で味わう酸っぱさがない。いくらでもいける。暖かいオンドルの部屋で味わう韓国料理は、冬が一番。ある日本のテレビ局の特派員がテレビで『韓国のこの寒さがあってこそキムチのおいしさが引き立つ云々』といっていたのを思い出す。現地で味わう韓国料理はこの世の極楽である。肉と一緒に豊富な野菜がついてくるが、小ぶりの青唐辛子(5センチぐらい)にはご注意を。とにかく辛い。まず今までに味わったことのない辛さだ。脳天に突き抜ける辛さと同時に、体中が熱くなってくる。冬こそ韓国料理を味わう季節だと私は思っている。春はもうすぐそこまで来ている。あれこれ思い悩まず心を軽くしてお出かけなさい。冬の次は春にきまっていますので。

アプローズシステム株式会社 代表取締役社長 飯塚 貞三