周波数移行に関する情報(8)

特定ラジオマイクは、現行の周波数からホワイトスペース等の他周波数へ移行します。周波数移行に関する最新情報や用語解説、会員からの疑問などを紹介するコーナーです。

  • 機器
  • 32chの同時運用も!新周波数対応機器のテスト会が始まる
 

 各メーカーが発売する新周波数対応の機器を一堂に集め、実際に試聴することのできる“テスト会”。『特ラ連レポート』等でご案内させて頂いているとおり、九州・近畿・東海・関東地方の全5か所で開催される予定です。平成25年11月21日、その第1弾として行われた浦安市文化会館(千葉県浦安市)での様子を通して、テスト会の内容を紹介しましょう。
 まず本テスト会の流れは、各メーカーごとに持ち時間が与えらており、その中で新製品のプレゼンテーションやサウンドテストを行うというもの。最も注目したいのは「実践を意識した最大32chのマルチ運用」を行うサウンドテストです(マルチ運用は4社が実施)。実際に2名のソリストと最大30名のコーラスの方々にラジオマイクを装着し、曲を歌いながら舞台上を動いてもらいます。

今回のテスト会場となった浦安市文化会館(千葉県浦安市)。
ホールという、実際に特定ラジオマイクが運用される環境を用いてテストは行われた。
 さて、浦安のテスト会では、午前の部として「シュア・ジャパン・リミテッド」※と「ゼンハイザージャパン」※の2メーカーが実施。その後、今回のテスト用システムを提供頂いた「ヤマハミュージックジャパン」による、ラジオマイクの入口から出口までのシステム説明がありました(ラジオマイク系を除く全システムの遅れは約7.8msとのこと)。
 お昼の休憩時間中には、有線マイクとラジオマイクの違いを参加者が自由にチェックできるようにとデモ機を用意。また、ホワイエには各メーカーのブースが展開し、新製品の展示や参加者からの質問や相談などに応じていました。
ソリスト(★、★)によるラジオマイクと有線マイクの歌い比べ。1本のマイクスタンドに2つのアームがついており、それぞれラジオマイクと有線マイクが取り付けられている。
最大32chのマルチ運用テスト。コーラスをする皆さんの一人一人にラジオマイクが装着されており、すべての機器から実際に電波が送信されている。これだけの規模でラジオマイクが運用されるのは本邦初といえるだろう。
コーラスの皆さんに装着されたボディパック型送信機。名札と送信機の番号が同じようになっている。
多数のコーラスが舞台上やホール内を動き回り、ラジオマイクの運用に障害が起きないかなどをチェックした。※…32chのマルチ運用を実施(パナソニックシステムネットワークスは16ch)
 午後の部は「パナソニック」、「ティアック(beyerdynamic)」、「ソニービジネスソリューション」、「日本テックトラスト」の4社がプレゼンテーションとサウンドテストを実施。最後に質疑応答があり、浦安のテスト会は終了となりました。

前日に行われたリハーサルの様子。各メーカーごとに多数のラジオマイクが運用されるとあって、打ち合わせは入念に行われた。
 今回、浦安での参加者数は約350名に上りました。前日リハーサルにコーラス全員が参加できなかったので、32chという数が同時に運用されるのは、恐らく“本邦初”になったといえます。ぶっつけ本番に近いカタチになりましたが、各社とも素晴らしい出来であったと感じました。また、次回のテスト会からは2社が新たに参加し、32chのマルチ運用を行うメーカーも増えます。浦安に参加できなかった皆様も、ぜひお近くのテスト会に足を運んで頂き、実際の仕上がり具合を確認して下さい。


(報告:武藤、石川)
  1. 浦安のテスト会場においてアンケートを行い、参加者の皆様から150件の回答を頂きました。詳しいアンケートの集計結果は、「一般社団法人 700MHz利用推進協会」のWebサイト(http://www.700afp.jp/) をご覧下さい。
会場のホワイエには企業ブースが並び、新周波数帯対応のラジオマイク機器が展示された。メーカーや代理店の担当者に質問できる、よい機会になったといえる。
ヤマハミュージックジャパンから提供された音響システム一式は、客席中央に設置された
舞台上手側に設置された各メーカーの受信機群。これらの受信機を写真に収める参加者の姿が多く見られた。

「新周波数対応 特定ラジオマイク テスト会」今後の予定

主催:(一社)700MHz利用推進協会、(一社)日本舞台音響家協会、特定ラジオマイク利用者連盟
開催日・場所:
平成26年2月11日 福岡市民会館(福岡県)
平成26年2月13日 兵庫県立芸術文化センター(兵庫県)
平成26年2月18日 北とぴあ(東京都)
平成26年2月21日 ウインクあいち(愛知県)
※参加に関して事前登録などは不要です。
●本テスト会に関するお問い合わせ
(一社)700MHz利用推進協会
電話 0800-800-0824
(受付:土日・祝祭日及び年末年始を除く 9:30〜18:00)
お問い合わせフォーム www.700afp.jp/contact.html
  • 免許
  • 「チャンネルリスト」が追加&一部の条件が緩和される

 平成25年11月14日、総務省が公表している『特定ラジオマイクのTVホワイトスペースチャネルリスト』が更新されました。更新内容は、以下のとおりです。
@ 約600か所がリストに追加された
 (使用可能なチャンネル数が4ch以下の場所を中心に追加)
 既に公表されている約600か所と合わせて、計約1,200か所がリストに掲載されたことになる。なお、総務省が調査した分については、これで終了。
A屋内での適用エリアの条件が一部緩和された
 「適用エリア以外であっても、当該施設内において遮蔽損失の実測場所と同等以上の遮蔽損失が見込まれる構造である場所、かつ、遮蔽損失の実測場所と同一階又は低い階の場所は、適用エリアの使用可能チャンネルを適用することができます。
 また、屋内の1階エリアにおいては、屋外の使用可能チャンネルを適用することができます。」
(※『特定ラジオマイクのTVホワイトスペースチャネルリスト』から引用)

総務省「電波利用ホームページ」へアクセス。トップページ→「資料集」→「18.特定ラジオマイクのTVホワイトスペースチャネルリスト」からダウンロードできる。リストはデジタルとアナログに分かれているので注意しよう。
 Aに関して、これまではリストに適用エリアが「大ホール」と指定されていた場合、その使用可能チャンネルは「大ホール」にしか適用されませんでした(他エリアでは使用不可)。しかし、この緩和によって、適用エリアと比べて「遮蔽損失が同等以上」かつ「同一階又は低い階」の他エリアでも、その使用可能チャンネルが利用できるようになりました。具体的には、架空の施設「××市民プラザ」の例を参考にして下さい(表1)。
 総務省によると、次回のリスト更新時期は未定。しかし、(一社)700MHz利用推進協会が免許人からの希望に基づいてリストの追加手続きを進めているので、更新は遅滞なく行いたいとのことです。
 チャンネルリストは「どの場所でどのくらいのチャンネル数が使えるのか」ということが分かる重要なものです(掲載場所以外でのホワイトスペース帯特定ラジオマイクの運用は電波法違反)。チャンネルリストの内容を確認したい場合は、総務省のWebサイト「電波利用ホームページ」で閲覧することができます。

 ※『特定ラジオマイクのTVホワイトスペースチャネルリスト』
 …“ホワイトスペース”(470〜710MHz)において、特定ラジオマイクが運用できる場所や使用可能チャンネルを明示したリスト。

 ●総務省「電波利用ホームページ」 www.tele.soumu.go.jp/
表1…「××市民プラザ」の適用エリアが「大ホール」の場合、
   その使用可能チャンネルが適用される範囲(例)
階層 施設 大ホールと比べた遮蔽損失 適用の可否
緩和前 緩和後
4階 会議室 × ×
3階 大ホール
中ホール ×
小ホール@ × ×
2階 小ホールA ×
小ホールB × ×
1階 ホワイエ × ×
(屋外の使用可能チャンネルが適用可)
  • 運用調整
  • 特ラ連 新周波数帯での運用調整を開始!


「Inter BEE 2013」でも、新周波数帯運用情報を関係する各会員・免許人へ提供した。
 特定ラジオマイクの周波数移行に向けて動きが活発化する中、既に新周波数帯(ホワイトスペース/711〜714MHz/1.2GHz帯)において「陸上移動局」の「音響業務用」として総務省から無線局免許を取得することが可能です(免許申請にあたって特ラ連加入証明書の添付が必要)。現状、複数のメーカー・代理店等の会員が新周波数帯の免許を取得しており、同周波数帯の運用にあたっては事前に運用連絡を頂き、運用者間で混信がないよう事務局で運用調整をしています。  「Inter BEE 2013」など上記会員による新周波数帯の運用が複数見込まれる場合は、事務局にて運用情報の取りまとめを実施(「実験試験局」として新周波数帯免許を取得しているメーカーによる運用も含む)。これらの運用情報を現場での打ち合わせ等に活用して頂くため、事務局から運用者へフィードバックしています。なお、制度上、実験試験局は運用調整の対象外となりますが、同じ周波数を使う陸上移動局と混信する恐れがあるため、運用連絡の提出を含めたご協力を当該免許人に要請しています。  平成25年11月現在で、事務局が新周波数帯運用情報を各会員・免許人へ提供した案件は以下のとおりです。
  • 平成25年11月12〜15日「Inter BEE 2013」(千葉県・幕張メッセ)※ 7免許人が運用
  • 平成25年11月20〜21日「新周波数対応 特定ラジオマイク テスト会」(千葉県・浦安市文化会館)※ 8免許人が運用
  • 平成25年11月27〜28日「全国公立文化施設協会 関東甲信越静ブロック技術研修」(山梨県・山梨県立県民文化ホール)※ 4免許人が運用
  • 免許
  • 現行周波数帯の免許申請期限にご注意下さい!

 現行周波数帯(770〜806MHz)における、新設免許の申請期限が迫ってきています。そこで、現行周波数帯の各種申請期限について、改めて確認しましょう。
@ 新たに購入した機器の免許を取得したい
→申請期限は平成26年3月31日まで
 現行周波数帯の特定ラジオマイクを新たに購入して免許を取得する場合、総務省がその免許申請を受け付けるのは平成26年3月31日までとなっています。なお、当連盟による免許申請のお手伝いにつきましては、原則、上記申請期日1ヶ月前に当連盟へ申請書類が到着した分をもって締め切らせて頂きます。現行周波数帯で免許を取得される予定があります場合は、お早めに申請して頂きますようご協力をお願い致します。
A 現行周波数帯の免許を更新したい
→今後も免許更新(再免許)は可能
既に現行周波数帯で取得している免許につきましては、今後も免許の更新(再免許)をすることができます。ただし免許の更新をしても、現行周波数帯の使用期限は最長で平成31年3月31日までです。
B 「現行周波数帯→現行周波数帯」機器を交換したい
→機器の変更申請(届)は平成31年3月31日まで
 使用している特定ラジオマイク機器を新しい機器へ交換する場合、総務省へ変更申請(届)が必要です。現行周波数帯の特定ラジオマイク機器から、故障修理等により同じく現行周波数帯の新しい機器へ交換する場合の変更申請(届)は、最長で平成31年3月31日まで行うことができます。
●免許に関するお問い合わせは、特ラ連事務局免許担当へ 電話03(5273)9806