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第4回「ラジオマイク周波数帯移行対策プロジェクト」報告

1.実施日時
平成23年08月11日(木)午後3時〜5時
2.場 所
S・C・アライアンス 早稲田 4階会議室
3.メンバー出欠(13名)
出席者:
リーダー藤崎 技術委員
サブリーダー中島 当連盟担当役員
メンバー伊藤 博理事、橋本(喜)理事、渡邊理事、今岡技術委員。
オブザーバー宮前技術委員長、熊谷(東京三光)。
欠席者:
西澤理事、藤井技術委員、稲留技術委員、亀井(東京三光)。
事務局:
八幡会長、田中理事長、石川職員。
4.議題内容
  • (1) 当連盟の要望条件と概要(電気的特性と運用調整)を再編に伴う事務局(NHKアイテック)に提案する事にする。そのため第3回の報告から、大きく変わった点、修正点など配付した資料により議論をした。
    • 要望条件の骨子は現行の状況を下回らない事である。
    • 第3回で決定した要望条件は高度化時のアライブ報告と状況は大きく変わっていないので遅延についてのみ、今回出ている1mSと置き換える。
  • (2)議論したポイント
    • イヤモニは、特に遅延があっては問題なので、アナログ対応を考えてアナログとデジタルの併存を主張する。
      (この遅延に関しては伊藤委員より、資料が配付された、内容はミュージカルなど於いて、それぞれでのディレーは致命的になるご指摘である、これについては問題点の提示はなかった)
    • イヤモニについてのホワイトスペースでの電波伝搬については、充分なる検証をしたい。
    • 技術論も必要であるが実際にワイヤレスマイクでホワイトスペースと1.2GHzで使用する体験をしたい。等
5.特定ラジオマイクの要望事項と裏付け資料

要望事項

1.音声品質
番組制作における音声収録などの放送用途から、舞台劇場・コンサート分野にも適用出来る高い音声品質が求められる。
(1)ダイナミックレンジ:
100dB以上
(2)伝送可能な音声周波数:
20Hz〜20kHz
(3)音声の遅延:
新デジタル方式の遅延量を1mS以下に抑えれば、相当程度の場面において利用者の要求品質を満たすことが出来ると考えられる。
舞台芸術分野や放送業務分野で、コード付きマイクと同時に拡声するような場合やイヤモニを併用する場合などでは更なる遅延量の短縮が望ましく、遅延の少ないアナログ方式の利用出来る環境が今後とも維持されると共に、新デジタル方式に期待が高まる。
(4)ステレオ伝送:
イヤモニなどステレオ方式の伝送を一回線で実施する場合にあっては、ダイナミックレンジ、最高音声周波数、伝送遅延のいずれかの性能を制限する必要がある。特にイヤモニにおいては、遅延は運用上の支障となるため、回線の設定方法や利用に関する要望の状況に応じて適切な方式が選定されることが望まれる。
(5)必要チャンネル数:
ミュージカルなどの大規模化(出演者増、演出の複雑化等)により、特定ラジオマイクの運用に必要なチャンネル数は増大している。
このような文化芸術活動においては、求められるチャンネル数に大きな幅があり円滑な運用のためには、イヤモニ10チャンネルを含む最大72チャンネル程度のチャンネル数を確保することが望ましい。
大規模イベントの同一空間・場所で近接して特定ラジオマイクを多数使用する場合は数だけでなく、チャンネル繰り返し利用計画(チャンネルプラン)が必要になる。
また、新デジタル方式の導入が可能になるとアナログ、デジタルの両メリットを活かして多様な演出にも対応出来るようにしたい。
(6)必要空中線電力:
会場や演目、演出方法により大きな幅があるが、スポーツ用のアリーナ・フィールドがコンサートなどで利用される等、会場が大規模化してきており、特定ラジオマイクの使用行動範囲が広がり、電波の到達距離が100mを超える場合も増えていることは明らかである。
また、衣装のデザインやそれに伴う装着方法の制限から、送信効率が低下して十分な到達距離が確保出来ない場合も増えている。
更に、海外で成功した演目を、演出・セットなどを同一として日本国内で上演する場合などでは演出の変更を最小限に抑えるためにも一定の送信電力を確保することで問題は軽減されるものと期待される。
このため、周波数の有効利用と、現在の10mWの電力でも充分に運用が確保される場面も多いことを踏まえつつもこれからを考慮して、使用目的に応じた送信電力で対応していきたい。
特にイヤモニについては、送信出力を100mW(可変)、指向アンテナの取り付け可能としたい。
デジタル化では50mWまで認められたが製品化の遅れ、体制の不備などのため、現場での実績を会得するまでに至っていない。
2.事例
( 例1)大規模ミュージカル:
出演者55名程度、舞台の規模は15m×10m、客席数1,300必要とする特定ラジオマイクは最小52波になる。
更に、イヤモニ10波、複合施設対応で10波を加味すると合計72波程度を必要としている。
(ミュージカルの動向)
ミュージカル公演では、特定ラジオマイクの本数を出演者相当数揃えることが希望される。世界的な通例としては、出演者全員に特定ラジオマイクの割り当てがあり、更に主役級には汗や機器トラブルによる万が一の事故に備えて2本用意されている。しかし日本では特定ラジオマイクの本数が限られているため、大規模公演において特定ラジオマイクを全員に割り当てることは困難で、特定ラジオマイクが必要な出演者は場面が変わるたびに出番が重ならない他の出演者と付け替えるなど工夫がなされている。
(例2)大規模コンサート:
特定ラジオマイクを利用する出演者は10名程度(当該メインキャスト以外にショーなどで50名)で舞台規模は30m×25m、客席数15,000人。必要とする特定ラジオマイクは最小で20波、更にイヤモニ10波と複合施設対応で10波を加味し、40波程度を必要としている。
(コンサートの動向)
アリーナのような大規模コンサート会場では、特定ラジオマイクの一般利用に加えてイヤモニのチャンネル数の確保が求められ、更に安定した通信のために空中線設置場所の確保に苦慮している。
広い会場ではアーティスト、演奏家が演奏を確認するためにイヤモニが必要で、帯域を広く使用するステレオで良質のサウンドを届けるイヤモニと特定ラジオマイクの併用が不可欠となっており、双方の必要本数に対応できるチャンネル数と出力増が必要となる。
(例3)大規模イベント
同一空間・場所で近接して特定ラジオマイクを多数使用するブース59ヶ所、対応する会員36社、使用する特定ラジオマイクは148波に達している。イベントも大規模化の傾向が続いている。
平成19年の東京モーターショー(幕張メッセ)は、これまでの最大規模で参加会員36社、ブース59ヶ所、特定ラジオマイク208本であった。
(展示イベントでの動向)
同一空間・場所での利用のため、余り移動はないが、近接エリアに多数の特定ラジオマイクが存在することから、詳細なチャンネル繰り返し利用計画(チャンネルプラン)が求められている。
また、イベントは大型化している上、随時報道機関による取材ロケが入るため、少ないチャンネル数ではチャンネルプランの作成が困難になっている。現場で.時間制限などを設ける例も増えてきている。
3.運用時要望
(1)ホワイトスペース
一製品で全国対応が可能なこと(周波数帯域100MHz程度)
地域ID等付加して、自動受信、自動位置検出など出来ること。
(2)1.2GHz
新デジタルシステムの開発には、充分な開発時間と伝送特性の充分な検証
  • エリア限界位置の確認、人体装着時の検証をしたい。
  • 海外メーカーの参入奨励をしたい。
(3)電池使用可能時間は8時間以上
(4)周波数帯域拡大での電波利用料の軽減化
4.電波の混信・障害の未然防止
(1)連絡調整機関の設置
ホワイト・スペースでは使用帯域内に地デジ放送波、その他の電波。 1.2GHz帯では各種の電波が共用する可能性がある。
この様な状況で電波の有効活用と混信・障害を未然に防止するため、更に使用周波数帯域も拡大する事になるので、現行の特定ラジオマイク利用者連盟の組織を見直し(会員と放送局をまとめる)運用調整の便宜を図ると共に文化芸術の発展に寄与していく。
(2)特定ラジオマイク運用者認定制度(仮称)
従来は限られた周波数帯に纏まっていたが、広汎な周波数帯域の運用となるので、電波全体の連絡調整機関を置くと同時に運用者自身の電波に対する 基礎知識を有することが必要となるので特定ラジオマイク運用者認定制度により、電波法の徹底を図り安定・安心の運用に供する必要がある。
運用実用調査 表-1
各年度素データ集
    1社当 運用連絡受信数   調整連絡発信数      
会員数 所有本数 本数 受信総数 会員 放送局 FPU 1日当 調整総数 一般 キィー局 1日当 連絡・調整総数 1日当
120 700 6           0       0  
171 1,171 7           0       0  
257 2,209 9           0       0  
354 3,442 10           0       0  
394 4,119 10 34,206 30,395 3,173 638 94 7,140 4,485 2,655 20 41,346 113
449 4,721 11 36,503 32,478 3,423 602 100 9,818 7,435 2,383 27 46,321 126
501 5,276 11 41,042 36,375 3,957 708 112 35,624 32,366 3,258 98 76,666 210
547 5,877 11 42,110 37,547 3,730 833 115 21,183 17,837 3,346 58 63,293 173
577 6,568 11 43,999 39,244 3,858 900 121 36,727 33,375 3,352 101 80,726 221
608 7,071 12 48,229 43,528 3,571 1,130 132 45,298 41,447 3,851 124 93,527 256
653 7,768 12 56,736 51,848 3,825 1,063 155 68,833 64,871 3,962 189 125,569 344
705 8,733 13 60,402 55,390 4,052 960 165 48,414 43,042 5,372 133 108,816 298
747 9,159 12 69,085 63,359 4,683 1,043 189 58,849 52,566 6,283 156 127,934 345
787 9,964 13 73,396 67,577 4,903 916 201 55,099 50,345 4,754 135 128,495 336
836 10,705 13 81,729 76,637 4,210 882 223 96,706 91,587 5,119 264 178,435 487
869 11,389 13 63,487 57,488 4,975 1,024 174 72,669 66,396 6,273 199 136,156 373
892 11,928 13 64,726 58,466 5,378 882 177 71,019 65,350 5,669 195 135,745 372
912 12,198 13 67,298 60,556 5,986 756 184 116,523 109,914 6,609 319 183,821 504
                0       0  

各年度ごとの会員数・所有本数・総運用調整数

  1. 会員数は年々増加している。(最近は年20件程度の増である)
  2. 運用連絡調整数も年々増加している。
    調整数が連絡数の1.8倍になっている、その原因には使用できる波数が限界に来ている事を示している。

電波伝搬・TVホワイトスペース共用条件
  1. 電波伝搬、潜在電界、ラジオマイクの特性など充分に検証して、実務対応の判断には充分な時間が欲しい。
  2. 特定ラジオマイクの使用できる周波数帯は全国統一した周波数帯になるよう配慮して欲しい。
  3. 実運用に当たっては
    • 共用する団体との運用協定を締結する団体を置く。
    • その団体は特定ラジオマイクを運用するに当たって、運用連絡・調整業務などを行う。
    • 新しいシステムの構築の為、情報は事前に欲しい。

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