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Inter BEE 2010 (第46回)2010 国際放送機器展

会 期11月17日(水)〜19日(金)
会 場幕張メッセ 展示ホール4〜8/国際会議場
主 催JEITA 社団法人 電子情報技術産業協会
後 援日本放送協会(NHK) 社団法人 日本民間放送連盟(NAB−J)
入場者数31,567人
出展者数824者 過去最多数 (主催者発表による)
特ラ連会員連絡数 10社 
   使用マイク数 2帯×5本、4帯×9本、2・4帯×14本、D1〜4×4本

主催者を代表して、社団法人 電子情報技術産業協会 会長 下村節宏氏は
「Inter BEEはNAB、IBCと並ぶ世界三大放送機器展のひとつで、今回は世界が注目する、デジタル放送完全移行後のメディアの新しい動向を紹介することを目指し、特に映像分野では 『クロスメディアゾーン』を設置しました。来場の皆さんは、情報交流、ビジネス創出の場として活用して欲しい」と挨拶した。(電波タイムズより)

 アナログ停波250日を切った現在、今年はアナログ放送最後の機器展である。日本が開発して育て上げたハイビジョンは、国内はもちろん、海外においても大きな潮流となっている。4K映像はフルハイビジョンを上回る画質を誇り、放送、映画産業に多大な影響力をもつことになるだろう。また将来は18Kになるだろうとも言われている。
 更に今年は3D元年とも言われ、今年の機器展会場では昨年を凌駕する映像を見ることができた。また、イスラエルの出展者数は昨年の10倍ちかい28者と増加率だんトツである。
 

オーディオ部門

  • エス・シー・アライアンス社では、今話題のラウドネスレベルメーターを展示していた。アメリカのリニア・アコースティック社の新製品、LQ−1000である。これはポストプトダクションや放送局では必需品で、特に生放送には必携品となるだろう。
     これは信号の大きさは音量感と一致しない、という観点から聴感上の大きさを「ラウドネス値」として数値で表そう、というものである。今までのVUメーターでは表示し切れなかったが、こと表示に関しては改善されるはずである。ITU(国際電気通信連合)でラウドネス音声基準規格を検討中である。
     某紙や日本ラウドネスメータ協議会のチラシによると、視聴者の音量差問題が一気に解決します、とあるがそう簡単にいくのだろうか。特に生放送時のアナウンスと記録物のレベルの音量差は非常に気になるのだ。人間の感覚に訴えるものは非常にやっかいである。
     この問題を12ヶ所のブースで取り上げていたから急務であることは確かである。

  • タムラ製作所では、A,B両タイプのデジタル・ワイヤレスマイクロホン・システムが展示され、人気を呼んでいた。
    同社のフラッグシップモデルの、デジタル音声調整卓、NT880が展示され、またラジオ局用の2種も展示。小型の上、選任オペレータを必要としないタイプである。

  • このようなミキサー卓を使用し、7Hの入口近くで簡単なセッティングで生放送していたのが、木村太郎氏の逗子・葉山コミュニティ放送〜湘南ビーチFMで、コミュニティ放送の走りである。女性パーソナリティだけだった。私は葉山マリーナにあるサテライトスタジオへお邪魔したことがあるが、この放送局の番組の特徴は24時間完全自主制作であること。アメリカRCS社のソフト、G selectorとZettaが使用され、昨年、この機器展で紹介された。木村氏の新時代に対するラジオ番組制作を考慮して採用されたソフトである。

  • ヒビノ シュアーのワイヤレスマイクにスペースをたっぷりとってあった。新製品「PSM900」は音の良いことで評判のもの。それだけでなく動作も安定しているそうだ。

映像部門

 かつて、オーディオの世界ではCDの出現でアナログ終焉と思われていたが、そう簡単にはいかない。相変わらずLPは作られ人気商品である。しかし放送はこうはいかなくなるのだ。デジタル放送の波だけになる。このような転換に直面するということは貴重な経験と言えよう。
 地デジ放送への移行の為の機器類のデジタル化と、HD化への需要は落ち着いたと見られている。しかし広告収入が減少し放送局の設備投資意欲が減退したとも見られている。このような時にそなえてメーカー側では低価格品を用意せざるを得ない。民生用機器の発展型でニーズに応える、という形態になろう。
  • パナソニック カメラではレンズ交換可能の「AG−AF105」はIBC2009で評判をとった。同社は映画人と連携したカメラ製作では歴史がある。当初はフィルムカメラマンの顰蹙を買ったそうだが、近未来を考えるカメラマンたちに支えられてきた。その成果がこの類いの製品であろう。アダプターを介して今までなじんできたレンズが使えるというメリットがある。3D用には一体2眼の3DカメラレコーダーAG-3DA1などがある。

  • ソニー 1日にプロフェッショナル事業説明会が行われた。それによると今年4月から新組織、新マネージメント体制で事業を展開。コンスーマ用の開発のスピードが業務用にも必要であり、高い技術力をコンスーマ機器で活用させ、ビジネスにしていく流れをも一度作っていきたい、と発表した。

大野

字句解説

* 4K映像:フルハイビジョンを上回る「超高画質」の規格。
フルハイビジョン1,920×1,080ピクセル
4K4,096×2,304ピクセル   K=キロ  4K=4,000
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