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設立20周年おめでとうございます

山口裕司様特ラ連設立20周年おめでとうございます。
 私が音声の仕事に就いた1993年は、法改正によるワイヤレスマイクの800MHz帯への移行末期で、まだスタジオには400MHz帯、500MHz帯の電波を使用するワイヤレスマイクが存在していました。当時ワイヤレスマイクは各スタジオ毎に配備されていたわけでなく、マイクロホンと同じく音声共通機材の倉庫に保管されており、番組収録の度に持ち出して使用していましたので、昨今は当たり前のように行われているスタジオ間での周波数調整は、機材調整そのものだったと記憶しています。
 移行期間完了に伴い、400MHz帯、500MHz帯のワイヤレスマイクが800MHz帯の設備に更新されました。昔のことなので記憶があいまいですが、400MHz帯、500MHz帯のワイヤレスマイクは周波数固定で3〜8波程度のチャンネルプランしかなかったと思います。それに比べて、800MHz帯のワイヤレスマイクははるかに広帯域(FPU 1chあたりのチャンネル数が71ch)で多チャンネルであったため、周波数の組み合わせを活用して徐々にスタジオ固定の設備として導入されていきました。
 その後、FPUの2chの周波数帯を使用するA2帯(AX帯)のワイヤレスマイクが登場する頃から、ワイヤレスマイクはスタジオ共通設備からスタジオ毎の固定設備に変化していき、機材調整のみならず周波数調整が必ず必要な設備へと変貌していきました。
 入社10年後の2003年、住み慣れた麹町から汐留への社屋移転時には、新設される10のスタジオ全てにワイヤレスマイクを常設することが“あたり前”の時代になっていたように思えます。各スタジオの幾何学的な配置、建物による電波シールド効果など様々な条件による結果として、すべてのスタジオに6〜12波のワイヤレスマイクを配備しました。
さらに、時期を同じくして、一つの番組収録で使用するワイヤレスマイクの数が飛躍的に増えていったように思えます。各スタジオに常設されているワイヤレスマイク数だけでは事足りず、日々の番組制作において増波が恒常化しており、現状の周波数プランでは限界に達していると感じることがしばしばです。
 さらなる増波の要望を受け、残るFPUの1ch、3chの周波数帯をデジタルワイヤレスマイクで使用可能となりました。事前の周波数調整の重要度がますます高まることは必須であり、特定ラジオマイク利用者連盟の重要度も増すと考えられます。今後の特ラ連の益々の発展を祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせて戴きます。
 

略歴 (93年NTV入社、スタジオ番組の音声、汐留新社屋のスタジオ設備構築、現職に至る)

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